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農業分野×地域活性化
~茨城県編~

みなさんこんにちは、コラム担当のあらぽんです。

茨城県は、農業が盛んな地域として知られています。本記事では、茨城県における第一次産業である農業に焦点をあて、地域活性化につながる取り組みについて紹介します。

日本の農業の特徴


日本の農業は、伝統的な農業知識と最新の技術を組み合わせていることが特徴です。

何と言っても米作は日本の農業の中心であり、日本人の主食として欠かせない存在です。また、それぞれの地域が気候や土壌に合わせて特産品を生産し、その地域ならではの農産物を提供しています。さらに、気候変動の影響も日本の農業に影響を与えており、より耐性のある品種の開発や災害対策が進められています。

一方で、人手不足や高齢化の問題がありますが、省力化が進んできており、ロボット技術や人工知能を活用した農業機械の導入や、無人ドローンを使った農薬散布など、効率的な農作業が行われています。
さらに、有機農業が増加しており農薬や化学肥料の使用を抑制し、環境に優しい農業を実践する取り組みが認められています。

また、国際競争力を向上させるため、ブランド化や付加価値の高い農産物の生産がされていることも特徴です。 特に、高品質である日本の農産物は、アジア諸国などで人気があり輸出も増加しています。
農村地域では、農業観光や地域づくりが重要なテーマとなっていて、観光客が農作業に参加したり、地域の特産品を楽しんだりすることで、農村の活性化を図っています。

これらの特徴が日本の農業を形成しており、農業の持続可能性と発展に向けた様々な取り組みが行われています。

茨城県の農業の特徴とは


茨城県は、太平洋に面した豊かな自然環境に恵まれています。 気候は温暖で、降水量も豊富であるため、農作物の生育に適した条件が整っています。特に、南部のつくば市周辺は科学技術の街として知られつつも、広大な敷地が無理なく、高度な農業技術が展開されています。
また、日本有数の農業県として知られており、その特徴的な地理的条件や気候により、広範囲の農産物の生産が可能となっています。例えば、米、野菜、果物、畜産物など、品種また、県内には肥沃な土壌や水源が豊富にあり、農業に適した環境が整っています。

■主な農産物
令和2年主要農産物産出額では鶏卵、かんしょ(サツマイモ)、メロン、ピーマン、れんこん、ほしいも、水菜など全国第1位の産出額を誇る品目が数多くあります。他にもレタス等の野菜、日本なし等の果樹、さらには米の生産も盛んです。東京都中央卸売市場青果物取扱高は18年連続で日本一を記録しており、茨城県は全国有数の農業県と言われています。

■農業産出額
令和2年の農業産出額の合計は4,400億円を超えており、鹿児島県に次ぎ全国第3位を誇っています。
▼内訳
米:約17%、園芸(野菜、果物、イモ類、花き等):約51%、畜産:約29%となっています。 近年、園芸部門の割合が増加している大きな理由として、大消費地である首都圏に隣接していることなどの有利な条件をいかして、野菜、花き等の生産が盛んに行われているためと考えられています。

また、銘柄畜産物として常陸牛、ローズポーク、奥久慈しゃもなどが生産されています。特に、常陸牛は首都圏を中心に評価が高まっており、ベトナム等海外への輸出もされています。

■県内5つの地域の農業について
県は大きく5つの地域に分かれており、各地域で特色のある農業が展開されています。

県央:平坦な地域で中山間地域が特徴で、多種多様な農業を行っている地域
⇒園芸はニラ・メロン・レンコン・ネギなどがあり、全国一の干し芋産地であることや、畜産や米麦などの大規模土地利用型農業が特徴です。

県西:露地野菜(葉菜類)や水稲、麦などの超大規模農業果樹も盛んな農業地域
⇒露地野菜(葉菜類:レタス・ネギ・ハクサイ・キャベツ)の大産地、果菜類(こだまスイカ・トマト・キュウリ)の産地、果樹(ナシ)、畜産、米麦などの大規模土地利用型農業が特徴です。

県南:都市化と共存する多様な農業を行っている地域
⇒果樹(ナシ・ブドウ・クリ)、野菜産地(ネギ、トマトなど)、花き産地、畜産や生産量が日本一のレンコン産地、水稲の大規模経営、また有機農業も盛んな地域で、都市農村交流取り組みを行っていることが特徴です。
また、新規参入者による奥久慈イチゴ産地でもあります。

県北:中山間地域で小規模ながら観光と結びついた特色ある農業地域
⇒観光果樹(ブドウ・ナシ・リンゴ)産地、枝物の広域産地、良食味米産地、直売所向けの多品目野菜や奥久慈ブランドのナスやネギ、奥久慈しゃもなどの畜産をしている農業が特徴です。

鹿行:全国レベルの産出額を誇っている、園芸主体の農業地域
⇒施設野菜(メロン、イチゴ、ミニトマトなど)や露地野菜(根菜:サツマイモ・ニンジン)の大産地、畜産や地域ブランド米、温暖な気候を活かした花き産地が特徴です。

参考:茨城県の農業

持続的な農業をしていくための取り組み事例【3選】


茨城県で行われている、地域活性化につながる農業の取り組みを3つご紹介し、それぞれについて詳しく説明していきます。
1.常総市:先進技術を活用し、日本最大級のミニトマト栽培施設を実現
茨城県南西部に位置する常総市に、総敷地面積約45ヘクタールの農業拠点「アグリサイエンスバレー常総」が誕生しました。その中でも、未来の地域創生モデルプロジェクトとして拠点内でスタートしたのが、「日本最大級のミニトマト栽培施設」です。
※アグリサイエンスバレー常総とは・・観光農園、植物工場、流通施設、道の駅など、複数の施設を総称したもの。

常総市の農地を集約して、農業の6次産業化による地域活性化を目指したまちづくりとして、官民連携事業の「アグリサイエンスバレー」が2014年にスタート。特に注目されている、「日本最大級のミニトマト栽培施設」は、約5ヘクタールの施設に最先端の環境制御システムを導入。通年で安定栽培ができ、年間約1000トンの出荷を実現すると言われています。

ミニトマトの栽培施設を運営するのは株式会社たねまき常総で栽培と販売を行い、技術開発を行っているのがSBプレイヤーズ株式会社の子会社である株式会社たねまきです。

競合と差別化を図っているのが、「首都圏近郊での夏を越して栽培をさせる」ことです。 通常、ミニトマトは4月~6月に最盛期を迎える野菜で夏を越す栽培は困難となり、9月以降にはミニトマトは値上がりします。夏を越す食材は、気温の低い地域や高地などからの出荷が主流となっているため、長期間の輸送による品質問題や流通コストがふくらむ傾向があると言われています。そのため、「首都圏近郊での夏を越して栽培をさせる」というのが優位性につながっています。

ミニトマトの栽培には環境制御を導入していて、施設内の環境をコンピューターが自動でコントロール。首都圏近郊での夏を越して栽培をすることを可能にしたことで、一年を通して安定した収穫量・価格での出荷を可能にしているのです。
2.筑西市:農業の根幹「土づくり」で安定的な生産を生み出すイチゴ農家
茨城県西部の筑西市は県内屈指のイチゴの産地と言われており、秀品率を維持しているイチゴ農家のこだわりは土壌還元消毒に微生物資材の国際ブランド「コフナ」を利用した「土づくり」にあります。
※コフナとは・・フランス・パスツール研究所の指導のもと、フランス・コフナ社が世界で初めて商品化した土壌改良用の微生物資材で、選別された多種多様な菌がバランスよく配合されているものです。

このイチゴ農家では「コフナ」を利用して、土壌中の微生物の種類・数と腐植を格段に増やす「コフナ・ソーラー法」というのを実践しています。

毎年6月頃に、収穫が終わったハウス(土壌)にイチゴの残株をすき込み、「コフナ」とその餌になる「ビオマス」を散布・土壌混和を行います。土壌の上に潅水チューブを敷き、上からポリ資材(マルチ)で土壌を全面被覆・密閉して土壌にたっぷりの水を流し入れて、2カ月間ハウスを閉め切る方法で「コフナ・ソーラー法」を行っています。
※ビオマスとは・・微生物を増殖培養する際のエネルギー源・栄養源(餌)として各種の有機物質をバランス良く複合させ、土壌有機微生物の増殖促進資材を製品化したもの。

降雪のある冬のシーズンも、「コフナ」を利用した土づくりのおかげで平均地温15℃以上を保つことができています。そのため、コンスタントに前年の同月を上回る収量をあげることができ、地域平均よりも38~110円高い単価で安定的に出荷を続けることができています。
3.笠間市:後継者問題を「第三者継承」という方法で受け継ぐ
農家の後継者問題と農業従事者の高齢化顕著ですが、茨城県笠間市にある60年以上続く椎茸農家では「第三者継承」というかたちで後継者を育てています。

農家側としては、後継者がいなかったため経営を終わらせる予定でしたが、起業のため地元茨城県にUターンしてきたKさんが、椎茸農家でしか栽培できない味を残していきたいとの想いから「第三者継承」として経営を引き継ぐ体制へ。

「第三者継承」のメリットとしては、経営基盤があるため初期投資がないことが挙げられます。また、栽培技術のノウハウや売買のコネクトがあることは、イチから始めると大変なことのため、メリットとなるでしょう。そして、地元の食材を継承していくことにつながるため、地域貢献として大きな影響を及ぼします。

このような「第三者継承」のやり方は、どの地域にでも取り入れられる方法ではないでしょうか。各地で「第三者継承」が主流になることで、地域ブランドを守り続けていくことにつながっていくと考えます。

まとめ


先進技術を取り入れた農業や、肥料へのこだわりの追求、地域ブランドを守っていくための取り組みなど、県内の各地域でさまざま行われていることが分かりました。特に「第三者継承」については、全国でより推進されていくことで、地方創生へつながると考えます。今後も、農業分野において地域の繁栄を目指していき、多くの人々に愛される地域づくりを行っていくことが重要です。
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