具体的な仕事内容と関わり方
自治体DX副業の関わり方は、月1回のオンラインMTGでの助言型から、システム設計・実装まで担う実務型まで幅広く存在します。
案件によっては、すでに課題が明確になっていて「予約フォームを改善したい」「サイトのUIを見直したい」といった個別テーマに取り組むケースもあれば、「まず現状整理から一緒にやってほしい」という初期段階の相談もあります。自分の得意領域に合った形で関われるのが自治体DX副業の特徴です。
また、自治体の現場では、専門用語やIT前提の説明だけでは伝わりにくいこともあります。だからこそ、技術をそのまま持ち込むのではなく、職員の業務や住民の利用シーンに置き換えて提案できる人ほど重宝されます。
1要件整理・ヒアリング
職員へのヒアリングを通じて、現状の業務フローと課題を整理します。
2デジタル化案の設計
オンライン化・自動化できる業務を洗い出し、優先順位をつけて提案します。
3導入・実装支援
フォーム作成、システム連携、UI改善などを実際に手を動かして進めます。
4職員への定着支援
ツールを使う職員が困らないよう、マニュアル整備や操作説明も担います。
自治体DX副業で多い役割の例
業務整理、ノーコードツール導入支援、住民向けフォーム改善、サイトリニューアル、データ可視化、庁内向けマニュアル整備、プロジェクト進行管理など、役割は多岐にわたります。エンジニア職だけでなく、PM・デザイナー・アナリストにも活かせる場面があります。
実際の自治体DX副業事例3選|どんな自治体でどんな支援が行われたか
自治体DX副業では、実際にどのような支援が行われ、住民サービスがどう変わったか。3つの具体的な事例を紹介します。
いずれの事例も共通しているのは、最初から大規模なシステム刷新を行ったわけではなく、現場の課題を丁寧に見極めながら、小さく始めて成果につなげている点です。副業人材は、その最初の一歩を実務面から支える存在として機能しています。
事例1
人口8,000人の自治体:窓口受付のオンライン予約化で待ち時間を平均45分→12分に
東北地方の人口約8,000人の町役場では、住民異動手続き(転入・転出・住民票発行等)の窓口が繁忙期に1時間以上の待ち時間が発生していた。IT担当職員はおらず、「デジタル化をしたいが何から手をつければいいか」という状態。国のデジタル田園都市国家構想交付金を活用して副業人材の受け入れを検討し、Otanomi経由でITエンジニアに相談を打診した。
都市部のWebエンジニア(民間企業の予約システム開発6年)が月2回のオンライン相談と月1回の役場訪問で参画。①業務フローのヒアリングと「ボトルネックは繁忙期の特定手続きに集中していること」の特定、②LINEを使った窓口予約システム(Graffer等の行政DXツール活用)の選定と設定、③職員向けの操作マニュアル作成と研修を4ヶ月で実施した。
予約システム導入後3ヶ月で、予約利用率が全窓口手続きの42%(目標30%を上回る)に達し、来庁者の平均待ち時間が45分から12分に短縮。「住民からのクレームが激減した」と担当職員が話している。副業人材の関与期間は6ヶ月で、以降は役場職員が自走している。
事例2
九州の中山間地域の市:農業補助金申請のオンライン化で書類提出に来庁が不要になった高齢農家250世帯
九州地方の山間部に位置する市(人口約32,000人・農業従事者が多い)では、農業振興課への各種補助金申請(中山間地域等直接支払制度、多面的機能支払い等)が全て紙の書類提出+窓口来庁で行われていた。高齢農家が遠方から書類を持参するために半日を費やすことが常態化していた。
都市部のデータアナリスト&UXデザイナー(行政システムへの理解があるフリーランス・総務省「地方自治体デジタル化アドバイザー」制度を利用して月1回派遣)が参画。①申請書類の種類と提出プロセスのマッピング、②Google Formsを使ったオンライン申請フォームの設計(スマートフォンから記入できるUI)、③ファックス・郵送対応との並行運用の仕組みと職員マニュアルの整備を実施。
翌年の申請シーズンでオンライン申請率34%を達成(対象農家のうち250世帯が初めてオンラインで申請)。来庁ゼロで申請が完了した農家からは「こんなに楽になるとは思わなかった」という声が多数。担当課の電話問い合わせ件数も22%減少した。
事例3
北陸の市:観光情報サイトをリニューアルし、スマートフォンからの観光案内利用が3倍に
北陸地方の市(人口約55,000人・温泉観光地)の観光情報サイトは10年以上前に作られたままで、スマートフォン対応が不完全だった。観光客から「スマホで見にくい」「イベント情報が古い」というクレームが観光協会に届いていたが、庁内に修正できるWeb担当者がいなかった。
都市部のフロントエンドエンジニア(観光・地域系サイト制作経験あり・副業1年目)が参画。①現行サイトの課題分析とユーザーヒアリング(観光客5名・職員3名)、②WordPressを使ったレスポンシブデザインへの全面リニューアル(Google マップ連携・多言語切替機能付き)、③職員が自分で更新できる管理画面の操作研修を5ヶ月で実施。
リニューアル後6ヶ月でスマートフォンからのアクセスが前年同期比で3.1倍に増加し、「観光施設の口コミ・地図」「イベントカレンダー」ページの滞在時間が大幅に伸長。翌年の観光客満足度調査で「情報収集のしやすさ」の評点が4段階評価で3.1→3.7に改善した。
副業として参画するまでのステップ
本業のエンジニア・PM経験があれば、自治体DXの実務経験がなくても参画のハードルは高くありません。まずはOtanomi上で公共領域の案件を確認し、対応可能な稼働時間・関わり方を提示するところから始まります。
その際、自分のスキルを自治体側がイメージしやすい言葉に変換しておくことが大切です。たとえば「Web制作経験あり」だけでなく、「住民向けサイトの導線改善に活かせる」「フォーム設計や業務フロー整理が得意」といった形で整理しておくと、案件との接点が見えやすくなります。
また、自治体案件では、最初から大きな成果を約束するよりも、「どの範囲なら無理なく関われるか」「月に何時間なら対応できるか」を丁寧に伝えるほうが信頼につながります。副業だからこそ、現実的なコミットメントを共有することが重要です。