ホーム【AI×地域振興 事例3選】AI技術が地域の救世主となる理由とは?

【AI×地域振興 事例3選】
AI技術が地域の救世主となる理由とは?

みなさんこんにちは、コラム担当のあらぽんです。
現代社会において、AIの技術はますます重要性を増しています。AIは多岐にわたる分野での活用が進んでおり、地域振興においても大いなる可能性を秘めていると言えます。
本記事では、AIの進化と地域振興へ期待されていること、経済的効果による地域振興の促進、AIを活用した地域の魅力を発信している事例を、観光業に限定して3つご紹介します。

AIの進化と地域振興への期待


AIの技術は急速に進化し、その重要性がますます高まっています。AIは機械学習やディープラーニング(※1)などの手法を用いて、人間の持っている知的な部分を真似する、あるいは超えることが可能です。このようなAI技術の進歩は、地域振興に革新的な変化をもたらす可能性を秘めています。

例えば、地域資源の活用や地域アイデンティティの創造につながると考えられます。AIを使って地域のデータを分析することで、その地域の特産品や観光資源など、潜在的な魅力を発見することができます。
このような分析に基づいた戦略的なプロモーションやマーケティング活動により、地域の魅力を最大限に引き出すことができます。これにより、地域特産品や観光地の認知度や評価が向上し、地域のブランド価値が高まります。

※1:ディープラーニング・・人間の手を使わず、コンピューターが自動的に大量のデータの中から希望する特徴を発見する技術のこと。

地域振興の促進


AIの進化は、私たちの生活や社会に多くの変化をもたらしています。特に地域振興という観点から見ると、AIが人の代わりに対応する可能性が注目されています。

まずは、生産性や効率性が向上するというメリットがあります。
例えば、観光業の現場でのAI活用は非常に期待されています。観光地での案内や案内所の業務をAIが担当することによって、従来のように人員を配置する必要性が減ります。これにより、労働コストを削減することができるだけでなく、ミスを減少することにもつながるため、より正確かつスムーズなサービス提供が可能になるでしょう。

さらに、地域資源や地域の伝統を活かし、地域活性化へつなげるためにAI技術を導入することもできます。観光地として誘致するために、地域にあるものを最大限活かしてアピールする役割りをAIは持っています。
例えば、AIを活用した農業技術の開発や地域の観光資源のAIマッチングなど、地域の特産品や魅力をAI技術で最大限に活かした取り組みが可能となります。

【事例3選】AI技術を活用した地域の魅力発信~観光編~


今回は、山口県、山形県、大分県の事例をご紹介します。
(1)山口県『AI技術を活用した狂言体験コンテンツ』
地域伝統芸能は維持・発展のため、担い手の不足といった大きな課題があります。
これには、
・「難しそう」といったイメージ等によりなかなか身近に感じにくいこと
・人員不足により十分な普及活動が行えない団体が多いこと
などが要因として考えられます。

このような課題を解決するため、「県指定無形文化財『鷺流狂言』」をモデルに、AI技術を活用したゲーム性のある伝統芸能コンテンツの開発を山口県では行いました。

この取り組みを全国へと発信するため、2022年10月8日、9日に、第30回地域伝統芸能全国大会開催。
山口県から伝統芸能の普及・振興につなげる新たなチャレンジとして、ゲーム性のある「AI技術を活用した狂言体験コンテンツ」を公開。
コンテンツの詳細は、鷺流狂言の演目『柿(かき)山伏(やまぶし)』を、子どもでも分かりやすいアニメーションで紹介しながら、基本的な所作から難しい所作までを合わせて体験し、狂言の面白さや魅力を感じることができる構成となっています。

また、周辺文化施設への観光案内もコンテンツ内で案内し、地域の文化スポットへの周遊も促進しています。

▼概要
・AI技術を活用した狂言体験ゲーム(※AI活用により非接触で体験)
【AI技術の活用】人物検知、骨格検知及び姿勢推計を行うことで、お手本と体験者の動きのタイミングも含めた一致率を計測。AIが学習を重ねることで、体格のズレなど補正等を行い、計測の精度向上。

・「55インチ大型モニター」を見ながら、お手本を参考に所作(動き)を前半・後半で各3所作ずつ体験

・AIによる自動採点・ランキングの紹介
AI技術を使ってお手本と体験者の一致率を採点。
体験者のランキングを示すことで、体験を何度も促し、狂言(伝統芸能)への興味を促進。

・演目「柿山伏」の動画閲覧
実際の狂言も楽しんでいただけるよう、演目「柿山伏」の動画を登録

・周辺の文化スポットを紹介
モデルコース形式で、周辺の文化スポットを紹介し、AI体験に合わせて地域の文化への親しみを深めていただく

参考:山口県HP
(2)福岡県『観光資源テーマパーク』
八幡東区東田エリアは、「世界遺産官営八幡製鐵所」や、「いのちのたび博物館」、「環境ミュージアム」、「スペースワールド」など、多彩な歴史や文化、エンターテインメント施設が集積した場所です。
北九州市の歴史と近未来を体験できるエリアとして、北九州市の多くの市民から認知されている一方、2017年12月にスペースワールドが閉園したことや、コロナウイルスによる影響で、エリア全体の来訪者は減少傾向にあることが課題でした。

この課題を解決するため、先進の技術を活用してエリアを一つのテーマパークにし、訪れてくれた人たちに体験してもらう「どこでもテーマパーク」実証事業を、2021年12月18〜24日と2022年1月3〜9日に実施。

「どこでもテーマパーク」は、XR(Extended Reality)、自動運転技術などの先端技術を融合させた「先進デジタルアトラクション」と、個人の趣味嗜好や周辺状況などの情報から、観光や物販サービスなどをアプリで提案する「AI観光コンシェルジュ」を組み合わせたソリューションパッケージとなっています。

先進デジタルアトラクションは、電動車椅子「WHILL Model CR」を1人乗りの自動運転モビリティとして運用。VR(Virtual Reality)ゴーグルや、MR(Mixed Reality)ゴーグルなどのXRデバイスを装着して、コース内を移動しながら仮想空間や複合現実空間を体験するアトラクションとなっています。「デジタル恐竜パーク」と「鉄の道VRガイディングツアー」の二つのコンテンツが楽しめます。

AI観光コンシェルジュは、北九州市街地に点在する観光スポットやおすすめのお店、その訪問先までのルートをレコメンドしてくれる機能として活用されています。近くにいる観光客などにプッシュ型で情報を送り込むことで、エリア内の周遊を促進させています。
(3)大分県『AI猫が地域の魅力を発信』
※この事例は、実証実験が2023年9月に大分県で行われたものとなります。

コロナの影響で一時客足が途絶えてしまったが、徐々に取り戻しつつある一方で、人手不足の課題が立ちはだかっています。宿泊業や観光施設に勤めていた人の多くは仕事を辞めてしまい、すぐに元通りに戻すことは非常に困難な状況でした。

こうした背景から、地方観光地の人手不足を支援するべく、「ビジネスの課題」と「社会の課題」を同時解決する株式会社SIGNINGは、猫と対話するスタイルで観光情報を提供する、AI猫の「タロ」というサービスを開発しました。
このサービスの実証実験を2023年9月行ったのが大分県です。
チャットGPTと地域の人が持つ情報を掛け合わせて質問をすると、AI猫の「タロ」がおすすめの店や、観光スポットなどを教えて答えてくれる観光支援ツールとなっています。

例えば、「おすすめの飲食店」とインターネットで検索すると、検索数に応じた表示がされますが、地域の人しか知らない、あそこの飲食店に行ったらこれを食べないと損!といった情報が付与されることで、その地域との関わり方・体験が豊かなものになると構想して作られています。
その地域を楽しむための提案をし、ネット検索で出てくる定番のスポットだけではない、よりコアな観光体験の提供を目指しているサービスです。

参考:PRTIMESプレスリリース

まとめ


AIの進化と地域振興へ期待されていること、経済的効果による地域振興の促進、AIを活用した地域の魅力を発信している事例を、観光業に限定してご紹介しました。
AI技術を活用することが、地域振興の救世主へとつながり、地域活性化になっていることがお分かりいただけたと思います。
地域の課題やニーズに応じた独自の活用方法などを模索し、AI技術を最大限に活用することで、より効果的な地域振興が実現されることを期待しています。
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