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【Otanomi活用事例インタビュー】アボカドから始まる循環経済を目指して

みなさんこんにちは、Otanomiコラム担当です。

「地域の仕事のひと」
地域ではどんな人が、どんな挑戦をしているんだろう?
そんなテーマで今回はOtanomiを活用し、副業人材の活用を進める「AMAZING JUICE代表 齋藤幸枝さん」にお話を伺いました。

人口の少ない地域であるほど1人1人の仕事が、想いが、相手の喜びや助けに直結する。
知ること、行動に起こすことで、これまで培われた経験を活かせる機会が地域には沢山ある。
など、地域ならではの仕事とひとの観点でのお話です。

事業概要


2021年、「Serendipityな1杯から笑顔咲くSustainableLifeを」をコンセプトに、アボカドのジュース&スイーツ専門店「AMAZING JUICE」をスタート。
クラウドファンディングにて沢山の方々から応援を受け、2021年12月に吉祥寺に常設店をオープン。

その後、店舗と並行してJR代々木駅構内やマルイ上野店などで多数出店し、アップサイクルやサスティナブルをテーマにしたコラボイベントも多数開催。


現在は『事業をより迅速に地域密着型で成長させていきたい』という想いとも重なり、茨城県北地域おこし協力隊(起業型)のメンバーとして日立市に拠点を移し、3つの事業を柱に活動中。

(1)アボカドのジュース&スイーツの販売
(2)アボカドの種や皮を活用したアップサイクル製品の開発
(3)地域の特産品を活用した商品開発

事業を始めたきっかけ


■齋藤さん:
『アボカドを起点にしたアップサイクル事業っていうことで、飲食業界の垣根を越えて資源循環型ビジネスを目指してやらせていただいています。』

ケーキを通して人と感動を共有することをやりがいに、パティシエとして活動していた齋藤さん。1杯のジュースとの出会いからAMAZING JUICEは始まった。


■齋藤さん:
『人生で一番落ち込んでる時にアボカドジュースに出会って、飲んだ時にめっちゃ美味しくて感動して、「なんかどうでもいいや」って開き直れた経緯があったんですね。』

興味本意で飲んだジュースだったが、「美味しい」という感情の重要性を改めて感じ、『元気を与えられるようなこの美味しいジュースをいろんな方に知ってもらえたらなぁ』という想いが芽生えた。

■齋藤さん:
『ジュース屋さんをやって何がしたいんだろう? その先が見えなくて、すぐ行動に移したわけではなかったんですね。』

『SDGsやサスティナブルみたいな分野に興味関心があったり、他の事業をやろうと動いていたんですけど、やっぱりアボカドジュースが忘れられなくて。改めてアボカドのことを調べたら期待の持てる業界っていうところや問題も分かってきたんです。』


ここ10年ほどでアボカドの生産量や輸入量が約2倍になっている。
国内での収穫量は、なんと6年間で72倍にもなっている。

一方で、最も生産量が多いメキシコでは一極集中での生産により、水不足や森林破壊、輸送にかかるときのCO2などが問題視されていることも分かってきた。


■齋藤さん:
『人気の裏側でこういった問題が起こっている。日本でアボカドジュースとか言って広めることは、環境破壊を助長していることになるんじゃないか? とかそういった想いがあって。ただ、やっぱりアボカドジュースはすごく美味しくて、いろんな方に知ってもらいたいっていう想いもあって。』

葛藤を抱えながらも真剣に考え続けた結果、道が見えてきた。


■齋藤さん:
『日本でアボカドを作って、「ジュースとかスイーツでもすごく美味しいんだよ」っていう新しいアボカドの食文化みたいなところをちょっと広げつつ、皮と種を活用したアップサイクル製品を作ってゴミを出さない資源循環型ビジネスをやれば、少しは社会貢献性の高い事業になるんじゃないかっていう全貌が見えてきた時に、「これだったら私がやる意味があるかな」っていうことでやり始めました。』


多くの食品の製造過程においてゴミとなる部分が発生することは避けられない。
アップサイクルとは、そんな捨てられるはずのものにデザインやアイデアなどの新たな付加価値を持たせ、新しい製品へとアップグレードすること。

齋藤さんは今、具体的にどんな取り組みをされているのだろうか。


事業内容① アボカドのジュース&スイーツの販売


■齋藤さん:
『看板メニューのアボカドジュースは、完熟アボカドを使用した優しい甘さのスムージーで、チョコレートとの意外な組み合わせを楽しめるのが特徴のジュースです。』

『中には苦手だけど買ってくださる方もなぜかいて。「苦手だったんだけど、アボカドってこんなに美味しいんだね!」みたいな感じでびっくりして帰られました。』


初めて飲まれる方が多く、齋藤さんと同様に感動体験も味わっている。

※現在は主にイベント出店で提供しており、
出店情報はInstagram Instagram から確認できる。
スイーツは オンラインショップ でも販売している。


■齋藤さん:
『ジュースにはアボカドの種からできた生分解性100%のストローを使っているんですけども、お渡しする時に「種からできてるんですよ」ってお話しすると、えっ?みたいに驚かれて、結構そこから興味を持ってくださいます。』

皮や種を使ったワークショップには、このストローがきっかけで興味を抱いた方も参加した。

■齋藤さん:
『自分で感じる体験、感動体験みたいなところからだと興味関心ってすごい持ちやすいのかなと思っていて。』


サスティナブルやSDGsの分野に興味関心を持つきっかけを作る。 それが、アップサイクル製品の開発をするうえで齋藤さんが心がけていることの1つ。

事業内容② アボカドの皮や種を活用したアップサイクル製品の開発


半年ほど前から同時進行で複数の製品を開発しており、中でも製品化に1番近いのは、アロマキャンドル。

■齋藤さん:
『大豆由来のソイワックスを顔料で染めて、アボカドオイルとアロマオイルを入れて作っています。』

顔料は皮と種から、アボカドオイルは廃棄されるアボカドの実から抽出している。 なお、現在開発されているアップサイクルキャンドルは、すでに評価され始めてきた。


■齋藤さん:
『10月に行われたジャパンキャンドルアーティストアワードに出品させていただいて、アップサイクルキャンドルっていうストーリー性を評価いただいて、特別賞をいただきました。』


また、新たにガラス製のキャンドルホルダーやアボカドの水耕栽培に使えるガラス容器をアボカドの皮と種で色付けして制作できないかと、開発に力を入れている。

■齋藤さん:
『アボカドって観葉植物として育てられてる方も結構いるんですね。見た目がすごいかわいいので。』

このガラス製品は、同じく茨城県北地域おこし協力隊(起業型)メンバーのガラス作家「ホシノガラス」と協働で開発されている。


想いを掲げて行動することで、地域の事業者とも繋がりが増えている齋藤さん。
3つ目の柱として、アボカド以外の素材も含め、パティシエの経験を活かした商品開発も複数されている。


事業内容③ 地域の特産品を活用した商品開発


■齋藤さん:
『今は、大子町にある「奥久慈茶の里公園」に関わらせていただいていて、奥久慈茶を使ったパフェを開発させていただきました。これからは茶室で提供するお菓子ですとか、お土産も開発していきます。』


地域の特産品を活用した商品開発は、拠点を移した後の2年目(2024年度)から始めることを決めていた。その想いは、自身が飲食業界に携わって得た経験も背景にあった。


■齋藤さん:
『皆さんいろいろと模索しながらも、飲食って薄利多売で利益がなかなか出しにくくてっていうところがあるので、そこをサポートしたいという気持ちで。こうやって関わらせていただいていて、ありがたいなという感じです。』

クライアントと事業者といった関係性だけでなく、仲間として一緒に作り上げていく。 齋藤さんからは、そういったスタンスが感じられる。


AMAZING JUICEには、他にもどんな人達が関わっているのだろうか。

事業に関わっている人達


■齋藤さん:
『本当に最近なんですけど、デザイナーさん。パッケージやグラフィックデザイナーとかをやってこられていて、事業的に相性がすごく良いんですよ。横のつながりを大切にして事業を一緒に進められたらなって思っているので、勝手に巻き込ませていただいています。』


繋がりを大切に、茨城の県北地域内の事業者さんとも数々のコラボを実施。
ママコミュニティ、農業法人、コーヒー店、ジェラート店、パン屋など多岐に渡る。


■齋藤さん:
『こういった地域に密着した人気店様とのコラボも、お互いのお店のファンに知っていただく機会になったり、地域密着型で地域の活性化に繋がれば良いなという思いで、やらせてもらってます。本当色んな方と関わり合いながらお仕事をさせてもらっていて感謝です!!』

その関わりは、地域の事業者だけでなく地域外にも広がってきている。
半年ほど前からは、副業人材の方とのプロジェクトをスタートされた。

副業人材の方との協働


アボカドジュースの美味しさやアボカドの可能性を知ってほしい。
一方で、環境への負荷をできる限り減らしていきたい。
そのためにはアップサイクルを成り立たせていくことが必要になる。

■齋藤さん:
『今やってる事業がただの飲食店ではなくて、アップサイクル事業としてやっているので、なかなか理解しづらいと思います。』

『私としてはアップサイクル製品を作って、アップサイクル事業として付加価値をつけてブランディングしていきたいんですね。そこが難易度高いんですよ。』


ジュースのファンになってくださる方は多い。 そのファンと(皮と種を活用した)アップサイクル製品とを繋げていくため、地域事業者と副業人材のマッチングサイトOtanomiも活用し、3方向でのプロジェクトを始めた。



① 「アップサイクル製品の開発」
大手の日用品メーカーにて開発から発売まで一通りやられている男性の方で、先述した製品の他にも様々なアップサイクル製品の開発に携わられている。
実際に募集したプロジェクト


■齋藤さん:
『例えば草木染めの製品では、お客様が使いやすいものに絞っているものの、今だいぶ悩んで選定しているところですね。いろいろ染められるので、なんでこの製品にしたのか、なんでAMAZING JUICEがやるのかっていうところを一緒に模索しながら、今ちょうど決めている段階です。』


②「事業全体の戦略づくり」
中小企業診断士の国家資格を持ち、経済全般を見れる男性と協働されている。

■齋藤さん:
『ちゃんと事業として成り立っていくように、事業戦略みたいなところを色々ご相談させていただいています。』


③ 「SNSマーケティングなどWEB周りの強化」
女性の方と共に、事業を知っていただくためのSNSマーケティングなどWEB周りの強化をされている。

■齋藤さん:
『現在は、オンラインショップとホームページのテコ入れをお願いしています。ちゃんと活用できていないっていうところあるので。』

各プロジェクトは、帰結する点は同じでも分野が異なるため、基本的にそれぞれと週1回のミーティングをしながら同時に進めている。
一方で、各プロジェクトが連動するための工夫もされている。

■齋藤さん:
『最後の週だけ全員で(ミーティングして)、それぞれやっていることの進捗を共有しながら外目線で「これってどうなの?」って指摘し合ったりしながら進めています。』

経験や環境など異なる背景を持つ人達だからこそ、真剣に向き合い、話し合うことでプロジェクトにも各個人にも役立つ気づきが得られる。


■齋藤さん:
『副業されている方々は、優秀な方が多くてびっくりします。』

実は、WEB周りの強化をされている方はSNSマーケティングについては実務経験がなく、現在学校でリスキリングされている。

■齋藤さん:
『実践で経験値を積みたいっていう方に入っていただいてます。まだ本当に入っていただいたばっかりなんですけど、すごく優秀な方です。』


専門的なスキルが必要とされるプロジェクトでは、それに求められる分野で経験を積まれてきた方が関わられることが多い。

AMAZING JUICEが未経験の方との協働を決めた背景には、他者のチャレンジに対する応援の意味合いもある。

これから叶えていきたいこと


■齋藤さん:
『2030年までには、アボカドをスイーツとして楽しむ食文化づくりや、種や皮の製品化によるアップサイクルの達成。その先で、アボカド業界全体でのサーキュラーエコノミー(循環経済) の構築を目指しています。
まずは、小さなアボカド畑付きの店舗を作り、収穫体験やアボカドメニューを楽しめたり、アップサイクル製品を購入できる「アボカド起点のアップサイクルを実際に体験できる場所」を作りたいです。』


そして地域の方を雇用して、地域の活性化にも貢献していきたいと考えている。 そこには、アボカドや地域への想いに加え、他者への想いがある。


■齋藤さん:
『私の世代だとママで頑張っている方が多くて、ただ、ママだとやれる時間が限られたりとか、自分のやりたいことが一番置き去りにされていたりとかっていうところがあります。 もっと自分の人生を楽しんでもらえるようなこととして、仕事に取り組みやすい形で関わっていただける機会などを今後作っていきたいなって思っています。』


アボカドが好きだから、面白い事業をしてるからなど、AMAZING JUICEに関わるきっかけは何でもいい。


■齋藤さん:
『私自身、けっこう自信がなくて自己肯定が低いタイプなんですね。でも自分の人生諦めたくないみたいな根底があってですね。ママさんにも、「自分なんて」みたいな感じで過小評価して考えてる方がいらっしゃって、そこが私と被るというか。

私自身は学歴ないし、でもなんか「やりたい!」みたいな気持ちを諦めきれないところもあって。ちょっと今頑張ってチャレンジしてるっていう形です。

何でもいいんですけど、そういった自分の可能性にチャレンジしたい方の応援をしたいですし、一緒に頑張っていきたいです。』

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Otanomi

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応募をしてもいきなり採用されるわけではなく、しっかり話しを聞いたうえで判断ができるためお互いに安心できる環境が整っています。

フリーランス・副業・兼業などで地域と繋がってみたい際は、ぜひOtanomiをご利用ください。 副業からはじめたい場合も歓迎です。

まとめ


本記事では、地域で働く事業者の方についてご紹介しました。

どんな仕事も、その先には誰かの暮らしに繋がっている。
本記事でご紹介した方々だけでなく、この地域には、それぞれの「誰か」に想いを馳せて挑戦している人達がいます。その想いや挑戦に共感し、共に歩みを進める人達がいます。

関わり方も、チームの中から(入社など)or 外から(副業など)、短期間や長期間など、ケースやフェーズによって様々あります。

地域での協働が、皆さんご自身にとって、地域で挑戦している方々にとって、それぞれの想いを叶え合う機会となれば幸いです。