
【ローカルゼブラ企業とは?】
地域課題解決で注目される新しい企業モデルの事例紹介
みなさんこんにちは、Otanomiコラム担当です。
近年、日本の経済界で「ローカルゼブラ企業」という言葉が注目を集めています。
従来の利益至上主義とは一線を画し、地域課題の解決と事業成長を両立させる新しい企業モデルとして、政府や地方自治体からも期待が寄せられています。
本記事では、ローカルゼブラ企業の概念から具体的な事例まで、詳しく解説いたします。
近年、日本の経済界で「ローカルゼブラ企業」という言葉が注目を集めています。
従来の利益至上主義とは一線を画し、地域課題の解決と事業成長を両立させる新しい企業モデルとして、政府や地方自治体からも期待が寄せられています。
本記事では、ローカルゼブラ企業の概念から具体的な事例まで、詳しく解説いたします。
【目次】
ローカルゼブラ企業とは何か
注目される背景と社会的意義
成功事例から見るローカルゼブラ企業
ローカルゼブラ企業の成功要因と今後の展望・課題とは?
副業や兼業で仕事をお探しなら「Otanomi」へ
まとめ
ローカルゼブラ企業とは何か
注目される背景と社会的意義
成功事例から見るローカルゼブラ企業
ローカルゼブラ企業の成功要因と今後の展望・課題とは?
副業や兼業で仕事をお探しなら「Otanomi」へ
まとめ

ローカルゼブラ企業とは何か
ゼブラ企業の誕生と基本概念
ローカルゼブラを理解するためには、まず「ゼブラ企業」の概念を押さえる必要があります。ゼブラ企業とは、2017年に米国の4人の女性起業家が提唱した概念で、急成長を求めるユニコーン企業のアンチテーゼとして誕生しました 。
◯参考: Zebras and Company
ゼブラ企業の名前の由来は、シマウマの白黒のコントラストにあります。企業の利益追求と社会貢献という一見相反する要素を、白と黒の模様のように調和させて両立させる企業を表現しています。ゼブラが群れで行動することから、ステークホルダー全体との協働を重視する姿勢も象徴しています。
ローカルゼブラ企業の定義
中小企業庁が2024年3月に策定した 「地域課題解決事業推進に向けた基本指針」 によると、ローカルゼブラ企業は「事業を通じて地域課題解決を図り、地域と共に持続的な成長を目指す中小・小規模事業者」と定義されています。
ローカルゼブラ企業は、以下の5つの特徴を持っています:
1. 地域課題へのコミットメント
地域の課題を深く理解し、その解決に向けて具体的な取り組みを行います。人口減少、高齢化、地場産業の衰退など、地域特有の課題に真正面から向き合います。
2. 革新的なビジネスモデル
従来のアプローチでは解決できない課題に対し、新しいビジネスモデルや革新的な技術・サービスを活用してアプローチします。
3. 地域との協働
地域住民、自治体、大学、他の企業など、様々なステークホルダーと連携しながら事業を進めます。地域内の資源と人材を最大限活用します。
4. 持続可能性の追求
短期的な利益だけでなく、社会的・環境的価値の創出も目指します。地域の持続可能な発展に長期的に貢献することを重視します。
5. 地域経済への貢献
地域に根ざした事業を通じて、地域経済の活性化や雇用創出に取り組みます。域内での経済循環を促進し、地域全体の底上げを図ります。
注目される背景と社会的意義
地域課題の深刻化
日本では人口減少と高齢化が急速に進行し、地方圏では特に深刻な課題となっています。2015年の国勢調査から2050年までの35年間で、人口は約50万人減少すると予測されており、地域社会の持続可能性が危ぶまれています。
このような状況下で、従来の行政主導の地域活性化策だけでは限界があることが明らかになり、民間企業による持続可能な地域課題解決のアプローチが求められるようになりました。
◯参考:地域課題解決事業推進に向けた 基本指針
政府の戦略的位置づけ
日本政府は2023年6月に閣議決定された「骨太の方針」と「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」において、「地域の社会課題解決の担い手となるゼブラ企業の創出とインパクト投融資の拡大」を促進する方針を明らかにしました。
中小企業庁では、ローカルゼブラ企業を創出・育成するエコシステム構築に向けた実証事業も実施しており、2024年には20件の事業が採択されています。
これらの取り組みにより、事業モデルの整理や支援手法、社会的インパクトの評価手法の確立を目指しています。
◯参考:ゼブラ企業の創出・育成に向けて

成功事例から見るローカルゼブラ企業
◯株式会社巡の環(宮崎県日南市)
宮崎県日南市を拠点とする株式会社巡の環は、地域の食文化を守りながら地域活性化に取り組む代表的なローカルゼブラ企業です。
同社は地元の農家と連携し、規格外で廃棄されがちな農作物を活用したレストランや加工品の製造・販売を行っています。
この取り組みにより、食品ロス削減と地域農業の持続可能性向上を同時に実現しています。地域の食材を活用した魅力的な商品開発により、新たな観光客の誘致にも成功し、地域経済の活性化に大きく貢献しています。
◯株式会社ワカツク(石川県輪島市)
石川県輪島市の株式会社ワカツクは、伝統的な輪島塗の技術を活かした現代的なプロダクトのデザイン・製造・販売を手がける企業です。
職人の高齢化や後継者不足という伝統産業共通の課題に対し、デザイン性の高い新商品開発で新たな顧客層を開拓しています 。
従来の高級品市場だけでなく、若い世代や海外市場にもアピールする商品を開発することで、伝統産業の持続可能性向上に成功しています。職人の技術を現代のライフスタイルに合わせて再解釈し、新しい価値を創造している好例です。
◯株式会社西粟倉・森の学校(岡山県西粟倉村)
岡山県西粟倉村の株式会社西粟倉・森の学校は、森林の保全と活用を通じた地域活性化を目指すユニークなローカルゼブラ企業です。森林の管理や木材の加工・販売、自然体験ツアーの提供など、森林資源を活用した事業を多角的に展開しています 。
同社の取り組みは、環境保全と経済活動の好循環を創出しており、持続可能な地域発展のモデルケースとして注目を集めています。
都市部からの移住者も増加し、人口減少に悩む地方圏の課題解決にも貢献しています。
◯津南醸造株式会社(新潟県津南町)
新潟県津南町の津南醸造株式会社は、地元産の米や水を使った日本酒の製造・販売を行う企業です。2024年には魚沼産コシヒカリを使用した『郷(GO)GRANDCLASS 魚沼コシヒカリEdition』を発売し、地域資源の活用と地域ブランド価値の向上に取り組んでいます。
同社は単なる酒造業にとどまらず、地域の米農家との連携を深め、農業の6次産業化を推進しています。
地域の基幹産業である農業と酒造業の相乗効果により、地域経済の活性化を図っている優良事例です。
ローカルゼブラ企業の成功要因と今後の展望・課題とは?
1:ローカルゼブラ企業の成功要因
◯地域ステークホルダーとの連携
成功するローカルゼブラ企業に共通するのは、地域の多様なステークホルダーとの密接な連携です。
自治体、地域金融機関、農協、商工会議所、住民組織など、地域の様々な主体との協働により、単独では解決困難な課題にアプローチしています。
◯地域資源の再評価と活用
地域に眠る未活用の資源を新しい視点で捉え直し、現代的なニーズに合わせて価値を再創造することが重要な成功要因となっています。
伝統技術、自然資源、文化的資産など、地域固有の資源を現代のビジネスモデルに組み込むことで、差別化された価値を提供しています。
◯持続可能なビジネスモデル
短期的な利益追求ではなく、長期的視点に立った持続可能なビジネスモデルの構築が不可欠です。
社会的価値と経済的価値の両立を図ることで、継続的な事業運営と地域への貢献を実現しています。
2:今後の展望と課題とは?
◯エコシステムの構築
ローカルゼブラ企業の創出・育成には、個別企業の努力だけでなく、地域全体でのエコシステム構築が重要です。人材、資金、知識、ネットワークなどの経営資源が循環する仕組みの整備が求められています。
特に、社会的インパクトを適切に評価し、それに基づいた投融資が行われる環境の整備が急務です。従来の財務指標だけでは測れない社会的価値を可視化し、投資家や金融機関の理解を得る仕組みづくりが必要です。
◯人材育成と技術革新
地域課題解決に取り組む起業家の育成や、既存企業の経営者の意識改革も重要な課題です。また、デジタル技術やAI、IoTなどの最新技術を活用した革新的な課題解決手法の開発も期待されています。
◯政策支援の充実
政府や自治体による支援策の充実も必要です。規制緩和、税制優遇、補助金制度の整備に加え、ローカルゼブラ企業同士のネットワーキング支援や、成功事例の横展開を促進する仕組みの構築が求められています。

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まとめ
本記事では、ローカルゼブラ企業について詳しく解説しました。
ローカルゼブラ企業は、地域課題の解決と事業成長を両立させる新しい企業モデルとして、日本の地方創生において重要な役割を担っています。人口減少や高齢化などの構造的課題に直面する中、民間企業による持続可能な課題解決アプローチは、地域社会の持続可能性を高める有効な手段となり得ます。
成功事例に見られるように、地域資源の再評価と活用、多様なステークホルダーとの連携、持続可能なビジネスモデルの構築が成功の鍵となります。今後は、こうした企業を支援するエコシステムの構築と、政策的支援の充実により、より多くのローカルゼブラ企業の創出が期待されます。
地域に根ざした社会課題解決の担い手として、ローカルゼブラ企業の動向から目が離せません。地域の未来を創る新しい企業モデルとして、その発展と成長を注視していく必要があるでしょう。