
【ふるさと住民登録とは?】
地方創生の新たな制度の全貌
みなさんこんにちは、Otanomiコラム担当です。
地方創生の新たな取り組みとして、「ふるさと住民登録制度」が注目を集めています。
この制度は、住所地以外の地域に継続的に関わる人を「ふるさと住民」として登録し、地域活性化につなげる革新的な仕組みです。
本記事では、ふるさと住民登録制度の概要から具体的な事例まで、詳しく解説いたします。
地方創生の新たな取り組みとして、「ふるさと住民登録制度」が注目を集めています。
この制度は、住所地以外の地域に継続的に関わる人を「ふるさと住民」として登録し、地域活性化につなげる革新的な仕組みです。
本記事では、ふるさと住民登録制度の概要から具体的な事例まで、詳しく解説いたします。
【目次】
1. ふるさと住民登録制度の基本概念と仕組み
2. 石破政権の看板政策「地方創生2.0」における位置づけ
3. 先行事例と成功モデルの分析
4. 制度導入のメリットと期待される効果
5. 課題と今後の展望
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まとめ
1. ふるさと住民登録制度の基本概念と仕組み
2. 石破政権の看板政策「地方創生2.0」における位置づけ
3. 先行事例と成功モデルの分析
4. 制度導入のメリットと期待される効果
5. 課題と今後の展望
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まとめ

1. ふるさと住民登録制度の基本概念と仕組み
制度の基本概念
ふるさと住民登録制度とは、実際に居住していなくても、任意で自治体の「住民」として登録できる仕組みです。この制度は、法律に基づく従来の住民票とは異なり、各自治体が創意工夫を凝らして自由に制度設計できる柔軟性の高いシステムとして設計されています。
政府の「新しい地方経済・生活環境創生会議」において、雨風太陽の高橋博之代表が提唱したこの制度は、地方創生2.0の実現に向けた重要な取り組みとして位置づけられています。
◯参考: 「ふるさと住民登録制度」の創設について
関係人口との関係性
ふるさと住民登録制度を理解するためには、まず「関係人口」の概念を把握する必要があります。関係人口とは、移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域や地域の人々と多様に関わる人々のことを指します。
◯参考:関係人口とは
この関係人口を可視化し、制度化することで、地域の担い手確保や地域経済活性化につなげるのが、ふるさと住民登録制度の主要な目的です。
具体的には、以下のような人々が対象となります:
・二地域居住をしている人
・その地域に継続的に関わり地域貢献する人
・季節的な手伝い(稲刈りなど)で地域を訪れる人
・直接的な参加は少ないが、分割納税を通じて地域を支援したい人
・登録方法とプロセス
ふるさと住民登録は、専用のスマートフォンアプリを通じて簡単に行えることが想定されています。利用者は好きな市町村を選んで「ふるさと住民」として登録すると、その自治体から「第2の住民票」ともいえる登録証が発行されます。
登録プロセスは以下のような流れになる予定です:
・専用アプリのダウンロード
・個人情報の入力と本人確認
・登録したい自治体の選択
・関わり方や貢献方法の選択
・自治体による承認
・ふるさと住民票の発行
・提供されるサービス
ふるさと住民として登録すると、以下のようなサービスを受けることができます:
◯公共施設の住民料金での利用:
図書館、体育館、温泉施設などの公共施設を、住民と同様の料金で利用できるようになります 。
◯行政情報の提供:
地域のイベント情報、行事の案内、空き家情報などが定期的に提供されます。
◯特別な行政サービス:
介護や相続関係書類の送付先変更受付など、生活に密着したサービスも受けられる可能性があります。
◯地域参画の機会:
市の計画策定への意見参加や、地域づくり活動への参加機会が提供されます。
◯参考:「ふるさと住民票」オフィシャルサイト
2. 石破政権の看板政策「地方創生2.0」における位置づけ
石破政権の地方創生2.0とは
石破茂内閣総理大臣は、ふるさと住民登録制度を看板政策である「地方創生2.0」の中核に位置づけています。
石破総理は2025年1月24日の施政方針演説において、地方創生2.0を「楽しい日本」を実現するための政策の核心と位置づけ、「令和の日本列島改造」として強力に推進する姿勢を示しました。
地方創生2.0の特徴
地方創生2.0は従来の地方創生1.0とは大きく異なる特徴を持っています:
■新技術の活用
AI(人工知能)・ロボット・ドローンなどの新技術を地方の課題解決に最大限活用し、従来の地方創生1.0では考えられなかった対応策・選択肢を提供します。
■人口減少を前提とした政策設計
人口減少を正面から受け止めた上で、経済成長と社会機能を維持する策を講じることを基本的な考え方としています。
■官民連携による地域拠点づくり
官民が連携して地域の拠点をつくり、地域の持つ潜在力を最大限引き出し、ハードだけではないソフトの魅力が新たな人の流れを生み出すことを目指しています。
数値目標と政府の本気度
政府は2025年6月に閣議決定した「地方創生基本構想」において、10年後にふるさと住民登録者1000万人、延べ1億人の関係人口創出という具体的な数値目標を掲げました。
石破総理は、「新しい地方経済・生活環境創生会議」において、「地方移住の促進に向け、『ふるさと住民登録制度』を創設し、『関係人口』をいかした都市と地方の支え合いを進めていく」と表明しました。
組織体制と予算の強化
石破政権では、地方創生2.0を推進するため「新しい地方経済・生活環境創生本部」を創設し、今後十年間集中的に取り組む体制を整備しました。
この本部では、地方創生の交付金を当初予算ベースで倍増させることも検討されており、財政面からも制度の実効性を高める取り組みが進められています。
これは単なる掛け声ではなく、実際の予算措置を伴った本格的な政策転換を意味しています。
◯参考:第217回国会における石破茂内閣総理大臣施政方針演説
◯参考:新しい地方経済・生活環境創生会議
3. 先行事例と成功モデルの分析
丹波市の先進的な取り組み
兵庫県丹波市は、2018年度から「ふるさと住民登録制度」を独自に創設し、先進的な取り組みを展開している代表的な自治体です。
同市の制度では、市外に住んでいる丹波市出身者や丹波市ファンを対象に、「ふるさと住民票」を発行し、以下のサービスを提供しています:
・ふるさと住民票の発行
・電子メールによる丹波市のイベント情報などの配信
・市の計画策定時の意見聴取への参加機会
丹波市の取り組みの特徴は、単なる情報提供にとどまらず、実際の市政への参画機会を提供している点です。
これにより、登録者の地域への愛着と関与の度合いを高めることに成功しています。
◯参考:丹波市ふるさと住民登録制度
熊本県錦町の地域密着型モデル
熊本県錦町も早期からふるさと住民票制度を導入し、地域との継続的な関係構築に成功している自治体の一つです。
同町では、町の魅力発信と移住促進の入り口としてこの制度を活用しています。
錦町の特徴的な取り組み:
・季節ごとの特産品情報の提供
・地域イベントへの優先参加権
・町政への意見提出機会の提供
・移住相談時の優遇サービス
◯参考:錦町ふるさと住民票 制度
岩手県平泉町の文化資源活用モデル
世界遺産で有名な岩手県平泉町では、文化的資源を活かしたふるさと住民票制度を展開しています。観光客から関係人口への転換を図る戦略的な取り組みとして注目されています。
平泉町の特色:
・世界遺産関連イベントへの特別招待
・歴史・文化に関する専門情報の提供
・地域ガイド体験プログラムへの参加機会
・文化財保護活動への参加呼びかけ
◯参考:平泉町ふるさと住民について
新潟県南魚沼市の体験型モデル
新潟県南魚沼市では、宿の手伝いなどをすることで宿泊料を免除する「帰る旅」という先進的な取り組みを実施しています。これは、観光と地域貢献を組み合わせた関係人口創出の好例として評価されています。
「帰る旅」の仕組み:
・宿泊施設での簡単な作業手伝い
・農作業や地域行事のサポート
・宿泊費用の一部または全額免除
・地域住民との交流機会の提供
・成功事例から見える共通点
これらの先行事例を分析すると、成功している自治体には以下の共通点が見られます:
■明確な目的意識
単なる登録者数の増加ではなく、具体的な地域課題の解決や地域活性化の目標を明確に設定している。
■継続的な関係構築
一度の登録で終わりではなく、継続的に関係を深める仕組みを構築している。
■双方向のメリット
地域側だけでなく、登録者側にも明確なメリットを提供している。
■地域特性の活用
それぞれの地域の特色や資源を活かした独自のサービスを提供している。

4. 制度導入のメリットと期待される効果
自治体側のメリット
■関係人口の可視化と管理
これまで把握が困難だった関係人口を登録制度により可視化し、地域づくりの人材データベースとして活用できます。
具体的には、専門スキルを持つ人材の特定、地域課題に関心を持つ人々のネットワーク構築、将来の移住候補者の発掘などが可能になります。
■財政面での効果
住民税の分割納税が実現すれば、新たな財源確保につながります。また、普通交付税の算定に組み込まれることで、国からの財政支援も期待できます。これは従来のふるさと納税とは異なり、より安定的で継続的な財政効果が見込まれます。
■地域活性化の加速
多様な人材との継続的な関係により、地域の課題解決や新たな事業創出の可能性が広がります。外部の視点や専門知識を活用することで、従来では思いつかなかった解決策が生まれる可能性があります。
■移住促進の入り口機能
ふるさと住民としての関係から、将来的な移住につながる可能性があります。段階的な関係深化により、移住のハードルを下げる効果が期待されます。
登録者側のメリット
■経済的メリット
公共施設の住民料金での利用により、継続的な地域訪問の経済的負担が軽減されます。特に温泉施設やスポーツ施設の利用料金差は大きく、年間を通じて考えると相当な節約効果が期待できます。
■情報アクセスの向上
地域の詳細な情報を継続的に入手でき、より深い地域理解が可能になります。観光情報だけでなく、地域の生活情報や課題についても知ることができ、より有意義な地域参画が可能になります。
■地域貢献の実感
具体的な制度を通じて地域に貢献している実感を得ることができます。単なる寄付や一時的な訪問ではなく、継続的で制度化された関係により、より深い満足感を得られます。
■ネットワークの拡大
地域の人々や他のふるさと住民との新たなネットワーク構築の機会が生まれます。これは個人の人生においても貴重な財産となる可能性があります。
社会全体への効果
■都市と地方の格差是正
都市部の人材・資金・知識が地方に流れることで、地域間格差の是正に貢献します。
■多様な働き方の促進
リモートワークや副業の普及と相まって、場所にとらわれない新しい働き方を促進します。
■地域文化の保護・継承
外部の人々の関与により、地域文化の価値が再認識され、保護・継承が促進されます。
■イノベーションの創出
異なるバックグラウンドを持つ人々の交流により、新たなアイデアやイノベーションが生まれる可能性があります。
5. 課題と今後の展望
制度運営上の課題
質的関係性の確保 単なる登録者数の増加ではなく、実質的な地域貢献につながる質の高い関係性をいかに構築するかが重要な課題です。形だけの登録者が増えても、実際の地域活性化にはつながりません。
■財政措置の具体化
住民税の分割納税や交付税算定への組み込みなど、具体的な財政措置の制度設計が急務です。特に、複数自治体への分割納税をどのような基準で行うか、税務上の複雑な問題も解決する必要があります。
■自治体間の格差
人気の高い自治体に登録が集中し、真に支援が必要な自治体に登録者が集まらない可能性があります。制度設計においてこの点への配慮が必要です。
■運営コストの問題
制度の運営には相当なコストがかかることが予想されます。特に小規模自治体では、専門人材の確保や システム運営が困難な場合があります。
技術的・運営的課題
デジタル化の推進 スマートフォンアプリを活用した登録システムの構築と、その利便性向上が必要です。高齢者でも使いやすいインターフェースの開発や、セキュリティ対策も重要な課題です。
■個人情報保護
大量の個人情報を扱うシステムとなるため、プライバシー保護と情報セキュリティの確保が不可欠です。
■制度の標準化と個別化のバランス
国全体での制度普及を図りながら、各地域の特性を活かした個別化をいかに両立させるかが重要な課題です。
長期的な展望
関係人口1000万人達成に向けて 政府が掲げる10年後1000万人という目標達成のためには、年間100万人のペースで登録者を増やす必要があります。これは相当に野心的な目標であり、積極的な広報活動と制度の魅力向上が不可欠です。
■制度の進化と発展
初期段階の制度から、利用者のフィードバックを踏まえて継続的に改善・発展させていく必要があります。AIやビッグデータの活用により、より効果的なマッチングシステムの構築も期待されます。
■国際展開の可能性
日本独自の取り組みとして国際的な注目を集める可能性があり、将来的には海外からの関係人口受け入れや、他国への制度輸出なども考えられます。
■他の政策との連携強化
ワーケーション推進、副業促進、地域おこし協力隊など、他の地方創生施策との連携を深めることで、相乗効果を生み出すことが期待されます。

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まとめ
本記事では、ふるさと住民登録制度について詳しく解説しました。
ふるさと住民登録制度は、人口減少時代における地方創生の新たな切り札として大きな可能性を持っています。従来の「移住か観光か」という二択ではなく、多様な形での地域参画を可能にするこの制度は、都市と地方の新しい関係性を創出する革新的な取り組みです。
石破政権が看板政策「地方創生2.0」の中核に位置づけ、10年間で1000万人の登録者獲得という野心的な目標を掲げる中、各自治体には地域の特性を活かした創意工夫あふれる制度設計が求められています。
今後の制度展開において重要なのは、単なる登録者数の増加ではなく、実質的な地域貢献につながる質の高い関係性を構築することです。
地域住民、登録者双方にとって価値のある仕組みづくりを心がけることで、この制度は日本の地方創生における新たなモデルケースとなる可能性を秘めています。