
【地方×スタートアップ】
地方発スタートアップが示す地域活性化の可能性
みなさんこんにちは、Otanomiコラム担当です。
かつて「起業」といえば、東京や大阪など大都市で会社を立ち上げるイメージが定着していました。
しかし近年、地方に根差したスタートアップが注目を集めています。人口減少や高齢化が進む地域でこそ、新たなビジネスチャンスが眠っており、地方特化型の起業家が持続可能な社会の実現に大きな役割を果たしているのです。
本記事では、地方発スタートアップの可能性と具体的な事例、取り組む上での課題、そして成功のポイントについて詳しく解説します。
かつて「起業」といえば、東京や大阪など大都市で会社を立ち上げるイメージが定着していました。
しかし近年、地方に根差したスタートアップが注目を集めています。人口減少や高齢化が進む地域でこそ、新たなビジネスチャンスが眠っており、地方特化型の起業家が持続可能な社会の実現に大きな役割を果たしているのです。
本記事では、地方発スタートアップの可能性と具体的な事例、取り組む上での課題、そして成功のポイントについて詳しく解説します。
【目次】
1. 地方創生とスタートアップの関係性
2. 地方で起業するメリット
3. 課題と向き合う:地方スタートアップの現実
4. 地方特化型スタートアップの成功事例
副業や兼業で仕事をお探しなら「Otanomi」へ
まとめ
1. 地方創生とスタートアップの関係性
2. 地方で起業するメリット
3. 課題と向き合う:地方スタートアップの現実
4. 地方特化型スタートアップの成功事例
副業や兼業で仕事をお探しなら「Otanomi」へ
まとめ

1. 地方創生とスタートアップの関係性
「地方創生」という言葉が一般化したのは、2014年に政府が打ち出した政策からです。東京一極集中を是正し、地域経済を活性化させるため、移住促進や地域産業支援、観光振興など多様な取り組みが推進されてきました。
この動きは、単なる地方の活性化に留まらず、日本全体の持続可能性を高めるための国家戦略とも言えます。
その中で特に重要な柱の一つが「地域発の起業」です。地方創生において、地域資源を最大限に活かしたビジネスや、地元住民の具体的な課題を解決するサービスは、単なる雇用創出にとどまらず、地域コミュニティの持続性を支える存在となります。
例えば、農業とテクノロジーを掛け合わせた「アグリテック」(例:スマート農業による生産性向上、フードロス削減)、高齢者の生活支援に特化した「介護テック」(例:見守りセンサー、オンライン健康相談)、地方特産品をECで流通させるD2C(Direct to Consumer)事業などは、まさに地域課題から生まれた起業の好例です。
都市部のマーケットでは埋もれがちなニッチな課題や潜在ニーズを拾い上げ、独自の強みを持つ事業として成立させることができるのは、地方特化型スタートアップならではの強みと言えるでしょう。
さらに、地方での起業は、自治体や地域金融機関、商工会議所などの支援機関との距離が近いという大きなメリットがあります。
地域の課題に即した助成金や補助金、きめ細やかなネットワーク支援が比較的利用しやすく、地元住民からの応援や信頼も得やすい土壌があるため、事業の初期段階から強固な基盤を築きやすい環境が整っています。
2. 地方で起業するメリット
地方での起業には、都市部にはない数多くの利点があります。
これらのメリットを最大限に活用することが、地方発スタートアップ成功の鍵となります。
■低コストでの創業が可能
オフィス賃料や人件費、物流コストなどが都市部に比べて大幅に抑えられるため、初期投資や日々の運営にかかる資金的な負担が軽減されます。
特に創業初期は固定費が重くのしかかるため、地方のコストメリットは事業継続に大きく寄与し、より多くの資金を製品開発やマーケティングに充てることが可能になります。
■地域資源を活用した独自性の高い事業を立ち上げやすい
たとえば、地元の特色ある農産物や伝統工芸品を新たな視点でブランディングし、全国に販売するD2C事業、あるいは豊かな自然や歴史的文化財を活かした体験型観光業など、他地域との差別化がしやすい環境です。これにより、独自のニッチ市場を開拓し、競争優位性を確立しやすくなります。
■コミュニティとの関係性
都市部では顧客やパートナーが広範囲に分散していますが、地方では「顔の見える商売」がしやすく、地域住民や事業者との間に深い信頼関係を構築できます。
この信頼関係が事業基盤を安定させ、口コミによる販路拡大や、地域を巻き込んだプロジェクトの実現にもつながります。
また、地域の商工会議所や金融機関が起業支援を積極的に行っているため、相談先が明確で孤立しにくい点も大きなメリットです。
■テレワークやリモートビジネスが普及
最近ではテレワークやリモートビジネスが普及し、地方でも都市圏と遜色ないビジネス展開が可能になりました。
高速インターネット環境の整備が進み、オンライン会議ツールやクラウドサービスを活用すれば、地方にいながらにして全国、さらには全世界の顧客とつながることができます。
これにより、地方のコストメリットを享受しつつ、都市部と同等かそれ以上の市場にアクセスできる「ハイブリッド型」のビジネスモデルが実現可能になっています。
このように、地方は起業に挑む人にとって新しい可能性に満ちたフィールドであり、工夫次第で都市部以上のビジネスチャンスを見出すことができるでしょう。

3. 課題と向き合う:地方スタートアップの現実
もちろん、地方での起業には課題も少なくありません。
これらの課題に正面から向き合い、戦略的に克服することが成功への道となります。
■人口減少とマーケットの限定性
地域の人口が少なければ、自然と潜在顧客も減ります。都市部のように新規顧客を獲得するための「裾野」が広くないため、地域外への販路拡大は事業継続のための重要なテーマとなります。
オンライン販売や広域連携など、地域外に目を向ける戦略が不可欠です。
■人材確保の難しさ
特に高度なITスキルやデザイン、マーケティングの専門人材は、地方では慢性的に不足しています。
近年は副業やリモートワーカーを活用して人材の流動化が進んでいるものの、育成やコミュニケーション面で課題を抱えるケースも多いのが現状です。
地域外からの人材誘致や、スキルアップ支援プログラムの導入、あるいは地元教育機関との連携などが求められます。
■資金調達の選択肢が少ない
大都市に比べてベンチャーキャピタルやエンジェル投資家の数が限られており、自己資金や公的資金(補助金・助成金)に頼らざるを得ない場面が多くなります。金融機関からの融資も、起業初期段階では実績が乏しく、審査が通りにくいという悩みがつきまといます。
地方のスタートアップ支援に特化したファンドの活用や、クラウドファンディングなど新たな資金調達手法の検討が重要です。
■情報やネットワークへのアクセスの遅れ
新しいビジネストレンドや先進事例に触れる機会が少なく、最新のマーケティング手法やICT活用が後手に回るリスクがあります。
オンラインコミュニティへの参加、都市部のイベントへの積極的な参加、メンター制度の活用など、意識的に情報収集とネットワーク構築を行う必要があります。
これらの課題に対し、自治体・商工会・地域金融機関が一体となった支援体制の強化や、オンライン活用の拡充が不可欠です。また、起業家自身が課題を認識し、積極的に解決策を探す姿勢が求められます。
4. 地方特化型スタートアップの成功事例
ここでは、地域に根差し、その特性を最大限に活かしながら、大きな成功を収めている地方特化型スタートアップの具体的な事例を3つ紹介します。
① 宮崎県発:完熟マンゴーD2C事業
「株式会社食べチョク」
宮崎県は日照時間が長く、温暖な気候を活かした農業が盛んな地域です。
この地の農家が集まり、立ち上げたスタートアップは、最高級ブランドの完熟マンゴーに特化したD2C事業を展開しました。
【地域資源の活用とブランド化】
宮崎の完熟マンゴーは、その品質の高さから「太陽のタマゴ」として知られる高級品です。このブランド力をさらに高めるため、徹底した品質管理と、生産者の顔が見えるストーリーテリングを重視しました。
【デジタルマーケティングと販路拡大】
ECサイトを自社で構築し、生産者から直接消費者に届けることで、流通コストを削減しつつ、鮮度と品質を保証しました。特に成功したのは、ふるさと納税の返礼品としての積極的な活用です。 これにより、全国的な知名度を一気に獲得しました。
また、食に関心の高いインフルエンサーとのコラボレーションや、SNSでの視覚に訴えるコンテンツ発信により、消費者へのリーチを大幅に拡大。
従来は百貨店や高級果物店が主な販路だった完熟マンゴーを、オンラインで気軽に購入できる体験を提供し、新たな顧客層を開拓しました。
【地域貢献】
農家の収益向上だけでなく、宮崎の農業の魅力を全国に発信する役割も担い、地域経済の活性化に貢献しています。
② 長野県発:観光体験マッチングプラットフォーム
「特定非営利活動法人信州まつもと 山岳観光地域づくり推進協議会」
豊かな自然と歴史的な文化が息づく長野県では、その観光資源を最大限に活かすべく、地域の特性に合わせた体験型サービスをマッチングするプラットフォームが運営されています。
【地域特化型の強み】
大手旅行サイトでは網羅しきれない、地方ならではのニッチでユニークな体験(例:地元ガイドによる山岳トレッキング、伝統工芸体験、古民家での料理教室など)に焦点を当てました。
【デジタル活用による効率化】
Webサイトと予約システムを開発し、地方在住の専門ガイドや地域事業者と、都市部の旅行者を効率的につなぐ仕組みを構築しました。これにより、アナログな予約管理や情報提供の手間を省き、双方にとって利便性の高いサービスを実現しました。
【顧客満足度の向上とリピーター獲得】
参加者からのレビュー機能を充実させることで、サービスの質を担保し、信頼性を高めました。年間数千人の集客に成功し、長野県の新たな観光の目玉として定着しています。
これにより、地域の雇用創出や、地元経済への直接的な貢献が生まれています。
【地域連携】
地元の観光協会や宿泊施設、交通機関などと密接に連携し、地域全体で観光客を誘致する体制を構築している点も成功の要因です。
③ 島根県発:高齢者支援アプリ開発
「株式会社ケアリングデザイン」
人口減少と高齢化が特に著しい島根県において、地域社会が直面する喫緊の課題を解決するため、地元企業が開発したのが高齢者の生活支援アプリです。
【社会的課題への着目】
高齢者の買い物困難、孤立、見守りニーズといった具体的な地域課題に焦点を当て、テクノロジーで解決することを目指しました。
【機能と利便性】
アプリには、日用品や食料品の買い物代行依頼機能、安否確認を兼ねた定期的な見守り通知機能、地域イベント情報の配信、さらには緊急時の連絡機能などが盛り込まれています。インターフェースは高齢者でも簡単に操作できるよう、シンプルかつ直感的なデザインに工夫されています。
【行政・地域住民との連携】
アプリ開発に際し、行政(自治体)と地域のNPO法人、ボランティア団体、さらには近隣住民との密な連携が不可欠でした。
行政からの情報提供や、地域住民がボランティアとして買い物代行や見守り活動に参加できる仕組みを構築し、アプリを通じて地域全体で高齢者を支える「共助」のプラットフォームとしての役割を果たしています。
【複合的な効果】
このアプリは、高齢者の生活の質(QOL)向上に貢献するだけでなく、買い物代行などの業務を通じて新たな雇用を創出し、地域経済にも寄与しています。
また、住民同士の交流を促進し、地域コミュニティの活性化にもつながっています。
これらの事例に共通するのは、地域課題に正面から向き合い、その解決のためにデジタルテクノロジーを積極的に活用している点です。
そして、単にサービスを提供するだけでなく、地域の特性や資源を最大限に活かし、地域内外へ販路やサービスを拡げていることが、地方発スタートアップの成功の鍵と言えるでしょう。

副業や兼業で仕事をお探しなら「Otanomi」へ
Otanomiは、「副業・兼業から始める地方創生」をテーマに、地方自治体や企業の課題解決に対する取り組みにチャレンジできるサイトです。
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Otanomiではよくある求人票ではなく課題を掲載しているため、困りごとがダイレクトに分かるという特徴があります。
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応募をしてもいきなり採用されるわけではなく、しっかり話しを聞いたうえで判断ができるためお互いに安心できる環境が整っています。
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まとめ
地方に根ざしたスタートアップは、単なるビジネスを超え、地域に生きる人々の暮らしや誇りを支える存在です。
人口減少や高齢化、地域産業の衰退といった厳しい現実の中にあっても、そこにこそ新しい事業機会があり、地方発の挑戦が今、大きな注目を集めています。
地方で起業を志す方は、地域資源や人のつながりを最大限に活かし、同時に全国や世界とつながる「ハイブリッド型」の事業モデルを目指すことが成功の鍵です。具体的には、地域特有の強みを掘り起こし、それをデジタル技術で再構築し、広域な市場へ展開する視点が不可欠です。
また、地方自治体や商工会、金融機関など支援機関のサポートを積極的に活用し、情報やネットワークを広げることも欠かせません。地域の課題は、そのままビジネスチャンスになり得ることを認識し、地域住民と共に未来を創造していく姿勢が求められます。
今後、テクノロジーの進化と働き方の多様化(例:地方移住、ワーケーション)により、地方発の起業はさらに広がりを見せるでしょう。
地域の未来をつくる挑戦者として、一歩を踏み出す人が増えることを期待しています。