【新しい働き方×地域貢献】
副業で変わる、地方創生のかたち

みなさんこんにちは、Otanomiコラム担当です。

働き方が多様化する現代において、副業は個人の収入源を増やすだけでなく、社会貢献の手段としても注目されています。
特に、都市部に住む人々が持つスキルや専門知識を、人手不足や高齢化に悩む地方の課題解決に活かす「副業を通じた地域貢献」が、新しい社会の潮流として広がりを見せています。

この記事では、単なるボランティアではない、プロフェッショナルなスキルを活かした副業による地域貢献の可能性と、具体的な実践方法について掘り下げていきます。

1. 「地域貢献」の再定義:ボランティアからプロフェッショナルへ


「地域貢献」と聞くと、多くの人は地域の清掃活動やイベントの手伝いといった、無償のボランティア活動を思い浮かべる方もいるかもしれません。もちろん、これらの活動は地域社会にとって不可欠なものであり、温かい心で行われる尊い行為です。しかし、現代における地域貢献は、その範疇を大きく広げています。


1-1. ボランティア活動の伝統と課題
伝統的なボランティア活動は、地域住民の自発的な善意によって支えられてきました。高齢者の見守り、子育て支援、災害時の復旧作業など、多岐にわたる分野で地域の絆を強め、住みやすい環境を築く上で重要な役割を果たしています。

しかし、ボランティア活動にはいくつかの課題も存在します。
一つは、活動の継続性が個人の善意に依存しやすく、担い手の高齢化や減少によって活動が縮小するリスクがあることです。また、専門的なスキルを要する課題解決には、ボランティアでは対応しきれない場面も少なくありません。



1-2. 専門性と持続可能性を追求する新たな地域貢献
現代の地域貢献は、これらの課題を克服し、より持続可能で効果的な地域活性化を目指す動きへと進化しています。
その中心にあるのが、「プロフェッショナルなスキルや経験を活かした貢献」です。

これは、単なる善意だけでなく、自身の専門知識やビジネススキルを地域が抱える具体的な課題解決に役立てるという考え方です。
例えば、Webマーケティングの専門家が地域の観光PR戦略を立案したり、ITエンジニアが地方自治体のDX推進を支援したりするケースが挙げられます。

これらの貢献は、対価を伴う仕事として行われることも多く、ボランティアとは異なる形で地域の経済活動に組み込まれています。これにより、貢献する側は自身のスキルアップや新たなキャリア形成の機会を得られるだけでなく、地域側も専門性の高いサポートを持続的に受けることが可能になります。



1-3. 「地域課題解決」という視点
この新たな地域貢献の形は、「地域課題解決」という明確な視点を持っています。少子高齢化、産業の衰退、過疎化、教育格差、医療体制の脆弱化など、地域が抱える課題は多岐にわたります。これらの課題は複雑に絡み合っており、単一の解決策では対処しきれない場合がほとんどです。

そこで求められるのが、多様なバックグラウンドを持つ人々がそれぞれの専門性を持ち寄り、協働して課題解決に取り組む姿勢です。
企業がCSR活動の一環として地域貢献を行うだけでなく、個人のスキルが直接的に地域課題の解決に結びつくような仕組みが、今まさに求められているのです。


2. 副業・兼業が地域貢献にもたらすインパクト


働き方の多様化が進む現代において、副業や兼業は単なる収入源の増加だけでなく、自己成長やスキルアップ、そして社会貢献の手段としても注目されています。

特に、都市部に住むビジネスパーソンが地方の地域課題解決に副業・兼業として関わることは、地域に新たな風を吹き込み、地域創生を加速させる大きな可能性を秘めています。



2.1. 都市のスキルと地方のニーズのマッチング
都市部には、高度な専門知識や豊富なビジネス経験を持つ人材が数多く存在します。IT、マーケティング、デザイン、経営戦略、人材育成など、多様な分野で培われたスキルは、地方の企業や自治体にとって喉から手が出るほど欲しいものです。しかし、地方ではこれらの人材をフルタイムで雇用する経済的な余裕がない場合や、そもそもそのような専門人材が不足しているという現状があります。

ここで「副業・兼業」という働き方が有効な解決策となります。都市のビジネスパーソンは、本業で培ったスキルを活かして地方のプロジェクトに短期間または週数時間といった形で関わることができます。例えば、地方の中小企業が抱える販路拡大の課題に対して、ECサイト構築やSNSマーケティングのノウハウを提供したり、地域ブランドの立ち上げをサポートしたりすることができます。

このマッチングは、双方にメリットをもたらします。地域は、これまで得られなかった専門性の高い人材のサポートを受けることができ、都市のビジネスパーソンは、自身のスキルが直接的に社会貢献に繋がるというやりがいや、新たな経験を積む機会を得られます。



2.2. 地域経済への波及効果
副業・兼業による地域貢献は、単なる知識提供に留まらず、地域経済全体に良い影響を与える可能性があります。専門家の支援によって、地域の企業が新しい商品やサービスを開発したり、販路を拡大したりすることで、売上向上や雇用創出に繋がり、地域経済の活性化に貢献します。

また、副業で地域に関わる人々が、その地域に魅力を感じて定期的に訪れるようになれば、観光客として地域の消費を促進する効果も期待できます。さらに、彼らの人脈やネットワークが地域に持ち込まれることで、新たなビジネスチャンスが生まれたり、地域外からの投資を呼び込むきっかけになったりすることもあります。長期的に見れば、副業・兼業をきっかけに、地域への移住やUターンを検討する人が現れる可能性も否定できません。



2.3. 多様な働き方の推進と地域創生の融合
副業・兼業は、働き方改革の推進とも密接に関わっています。政府も副業・兼業を推奨しており、企業も従業員の多様な働き方を認める動きが広がっています。このような社会の変化が、地域貢献と結びつくことで、より多くの人が地域創生に関わる道が開かれています。

例えば、ワーケーションの普及もその一つです。リモートワークを活用して地方に滞在しながら仕事をすることで、地域の人々と交流し、その地域の課題に触れる機会が増えます。そこで得た気づきやインスピレーションが、副業として地域貢献に繋がることも十分に考えられます。



地域創生は、特定の機関や団体だけでなく、多様な人々がそれぞれの持ち場で貢献することで、初めて持続可能なものとなります。副業・兼業は、その多様な関わり方を実現する強力なツールとなり得るのです。


3. 副業・兼業による地域貢献事例


具体的な事例を通して、副業・兼業がどのように地域貢献に結びついているのかを見ていきましょう。

【事例1】長野県塩尻市における「特任CMO・CHRO」の登用
長野県塩尻市は、パーソルキャリアの副業サービスを活用し、大手企業のマーケティング責任者(CMO)と人事責任者(CHRO)を副業人材として迎え入れました。

・課題: 地域のシティプロモーションや人材確保のノウハウ不足。
・貢献: 副業のCMOは市の広報戦略を根本から見直し、地域の魅力を効果的に発信する戦略を立案。また、副業のCHROは職員の人材育成や採用戦略を支援し、行政組織の改革に貢献しました。
・効果: 専門家の知見を得ることで、限られた予算の中でも効果的な広報や人材確保が可能となり、市役所内の意識改革にも繋がりました。


【事例2】副業をきっかけに移住・定住に繋がった事例
富山県南砺市では、副業・兼業人材を活用する事業を実施しました。
都市部で働く専門家が、市のプロモーションや地域課題解決に副業で関わりました。

・課題: 地域外からの関係人口を増やし、将来的な移住者を確保したい。
・貢献: 副業で関わった人材が、地域の企業や自治体のDX推進、マーケティング戦略などに貢献。地域との深い関わりを持つ中で、地域の魅力や可能性を再発見しました。
・効果: 実際に副業をきっかけに地域への移住を決めた人材が現れ、関係人口の創出から定住人口の増加へと繋がる可能性を示しました。これは、副業が移住の「お試し期間」となり得ることを証明するものです。


【事例3】島根県雲南市における事業開発プロジェクト
島根県雲南市は、副業マッチングサービスを活用し、都市部のビジネス人材を受け入れました。

・課題: 地域資源を活かした新規事業の創出が進まず、若者の雇用機会も限定的だった。
・貢献: 副業として参加した大手企業の新規事業担当者が、地元農産物を活用した加工品ブランド開発を支援。パッケージデザインやEC販売の仕組みを整えるなど、外部の視点から事業を再設計しました。
・効果: 商品は首都圏のマルシェやオンライン販売で人気を集め、地元雇用の拡大にも繋がりました。副業人材がきっかけで地域企業に新しい販路が生まれた好例です。


【事例4】宮崎県日南市での観光マーケティング支援
宮崎県日南市では、副業人材を登用し観光プロモーションの強化を図りました。

・課題: コロナ禍の影響で観光客が減少し、地域経済が停滞。情報発信も十分ではなかった。
・貢献: 首都圏の広告代理店に勤める副業マーケターが参画し、SNS戦略や動画コンテンツを活用したキャンペーンを実施。地元飲食店や宿泊施設と連携し、地域全体での魅力発信を行いました。
・効果: 若年層を中心に新たな観光客層を獲得し、来訪者数が回復傾向に。地域事業者同士の連携強化にも繋がり、持続可能な観光モデルの構築が進みました。


【事例5】福島県会津若松市の中小企業DX推進
福島県会津若松市では、副業・兼業人材を活用して地域中小企業のデジタル化を支援しました。

・課題: 中小企業が人手不足とノウハウ不足で、業務の効率化やオンライン化に対応できていなかった。
・貢献: 都市部IT企業で働く副業エンジニアが、業務フローの見直しやクラウドツールの導入を支援。社員への操作研修も行い、ITに不慣れな企業が自走できるよう伴走しました。
・効果: 業務効率が向上したことで売上拡大に繋がり、従業員の働き方改革にも寄与。副業人材の関与が地域経済の底上げを後押しする結果となりました。


これらの事例からわかるように、副業・兼業による地域貢献は、単なる労働力の提供ではなく、都市で培われた専門的なスキルや経験が、地方の具体的な課題解決に直結し、地域に新たな価値と活力をもたらす強力な手段となっています。


4. 副業・兼業で地域貢献を始めるためのステップ


地域貢献に興味はあるけれど、具体的にどうすればいいのか分からないという方も多いでしょう。
ここでは、副業・兼業として地域貢献を始めるための具体的なステップと、成功のためのヒントを紹介します。

4-1. 自身のスキルと関心領域の棚卸し
まず最初に行うべきことは、自身のスキルと関心領域の棚卸しです。

■自身のスキルを客観的に評価する:
本業で培ってきた専門知識(IT、マーケティング、デザイン、経営企画、広報、人事など)、語学力、コミュニケーション能力、マネジメント経験など、自分がどのような価値を提供できるのかを具体的にリストアップしましょう。資格や実績があれば、それらも整理します。

■関心のある地域や課題を明確にする:
どのような地域(出身地、観光で訪れた場所、特定の産業が盛んな地域など)に魅力を感じるのか、また、どのような社会課題(少子高齢化、農業の担い手不足、観光振興、教育格差など)に関心があるのかを考えます。具体的な地域や課題に絞り込むことで、ミスマッチを防ぎやすくなります。



4-2. 情報収集とマッチングプラットフォームの活用
次に、具体的な案件を探すための情報収集と、マッチングプラットフォームの活用です。

■地域特化型マッチングサービス:
最近では、都市部のスキルホルダーと地方の事業者を繋ぐ専門のマッチングサービスが増えています。 下記記事でオススメの副業サイトをご紹介しているので、ぜひご活用ください。

2025年版・おすすめ5選 【地方×副業サイト】特徴まとめ


■地方自治体の取り組み:
多くの地方自治体が、地域外の人材を誘致するための制度やプログラムを設けています。「地域おこし協力隊」や、各自治体のウェブサイトで「関係人口」に関する情報を探してみるのも良いでしょう。


■地域との接点を持つ:
観光やワーケーションで特定の地域を訪れた際に、地元の商工会や観光協会に立ち寄る、地域のイベントに参加するなど、直接的な接点を持つことも重要です。



4-3. コミュニケーションと信頼関係の構築
副業・兼業での地域貢献は、単なる業務委託とは異なり、地域の人々との信頼関係が非常に重要になります。

■地域の文化や慣習を理解する:
地方には、都市部とは異なる独自の文化や慣習が存在します。地域の人々の価値観を尊重し、一方的に自分の意見を押し付けるのではなく、傾聴する姿勢が大切です。


■丁寧なコミュニケーションを心がける:
リモートでのやり取りが多くなる場合でも、定期的な報告・連絡・相談を怠らず、顔が見えるコミュニケーションを心がけましょう。


■短期的な成果だけでなく、中長期的な視点を持つ:
地域課題の解決は、一朝一夕で成し遂げられるものではありません。短期的な成果を出すことも重要ですが、中長期的な視点を持って、地域と共に課題に向き合う姿勢が求められます。


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Otanomiは、「副業・兼業から始める地方創生」をテーマに、地方自治体や企業の課題解決に対する取り組みにチャレンジできるサイトです。
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まとめ


この記事では、「地域貢献」をボランティア活動の枠を超え、専門的なスキルや経験を活かす「プロフェッショナルな貢献」として再定義しました。

地域貢献は、単なる奉仕活動ではなく、自身のキャリア形成や自己成長にも繋がる価値ある挑戦です。私たち一人ひとりが持つ可能性を地域社会のために活かすことで、未来に向けた豊かな地域を共に創り上げていくことができるでしょう。