【地方創生はなぜ必要か?】
人口減少・産業衰退を背景に解説

みなさんこんにちは、Otanomiコラム担当です。

地方創生という言葉を耳にする機会が増えていませんか?
2014年に「まち・ひと・しごと創生法」 が施行されてから10年が経過し、地方創生は日本の重要な国家戦略として位置づけられています。
しかし、なぜ今、地方創生が必要なのでしょうか。

内閣官房の地方創生推進事務局 によると、2024年は地方創生の取組が本格化してから10年の節目を迎えており、これまでの成果と課題を踏まえた新たな戦略「地方創生2.0」が策定されています。

本記事では、地方創生の必要性を人口減少や産業衰退といった深刻な背景とともに詳しく解説し、あなたのスキルや経験を活かした地域貢献の可能性についてもお伝えします。

1. 地方が直面する深刻な現実:人口減少と東京一極集中


加速する人口減少の実態
日本が直面している最も深刻な課題の一つが人口減少です。
総務省の最新データによると、2025年9月1日現在の住民基本台帳人口移動報告では、引き続き多くの都道府県で「転出超過=社会減」が続いており、今の時代の人々(特に20代人口)に選ばれにくいエリアが明確になっています。

【具体的な現状データ(2025年最新)】
・2025年の日本の総人口:約1億2,317万人(前年同月比61万人減、-0.49%)
・2040年予測人口:約1億1,000万人(約1,500万人減)
・合計特殊出生率:1.15(2024年確定値、過去最低を更新)
・出生数:68万6,061人(2024年確定値、初めて70万人を下回る)
・2025年上半期出生数:33万9,280人(前年同期比3.1%減、過去最少)

総務省統計局 の最新発表によると、2025年4月1日現在の確定値で総人口は1億2,339万7千人となり、前年同月に比べ60万5千人(0.49%)の減少となっています。特に注目すべきは、15歳未満人口が前年比35万6千人(2.54%)という大幅な減少を記録していることです。

この人口減少は単なる数字の問題ではありません。若年層の都市部流出により、地方では労働力不足、消費市場の縮小、税収の減少といった連鎖的な問題が発生しています。
特に20代女性の地方からの流出が顕著で、これが出生率低下と人口減少の加速要因となっています。


社会インフラの維持困難
人口減少は、地域の社会インフラ維持にも大きな影響を与えています。


インフラ・サービス維持の課題
・公共交通の縮小:バス路線の廃止、鉄道の運行本数減
・医療・介護サービスの不足:病院の統廃合、専門医の不足
・教育環境の悪化:学校の統廃合、教育プログラムの縮小
・商業施設の撤退:スーパーマーケット、銀行支店の閉鎖
・行政サービスの効率化圧力:職員数削減、窓口サービスの縮小

これらの変化により、地方での生活利便性が低下し、若い世代や子育て世帯にとって住みにくい環境となってしまいます。
その結果、さらなる人口流出を招く悪循環が生まれています。


2. 地域経済の衰退と産業空洞化の深刻化


第1次産業の構造的課題
地方の基幹産業である第1次産業では、深刻な構造的課題が顕在化しています。

■農林漁業の主要課題
・従事者の高齢化:平均年齢67歳(農業)
・後継者不足:後継者確保率30%未満
・収益性の低さ:都市部サラリーマンとの所得格差拡大
・気候変動対応:自然災害リスクの増大


製造業・サービス業の変化
■第2次産業(製造業)の課題
・工場の海外移転:製造業空洞化の進行
・技術者不足:熟練技術者の退職と若手確保困難
・デジタル化遅れ:Industry 4.0対応の遅れ
・下請け構造:付加価値創出機会の限定


■第3次産業(サービス業)の課題
・市場規模縮小:人口減少による顧客数減少
・人材確保困難:専門スキル人材の都市部流出
・デジタル対応遅れ:EC化、DX推進の遅れ
・観光産業の脆弱性:コロナ禍で明らかになった依存リスク

地方の基幹産業である農業、林業、漁業、製造業においても、担い手不足と技術継承の困難さが深刻な問題となっています。
これらの産業が衰退すると、地域全体の雇用機会が減少し、さらなる人口流出を招く負のスパイラルに陥ってしまいます。


3. 地方創生2.0:新たな戦略と理念


地方創生の基本理念
地方創生とは、人口減少と東京一極集中が進む中で、地域に眠る資源や人材を再発掘し、経済・暮らし・文化・環境を持続的に活性化させる国家的戦略です。単なる地域振興策ではなく、日本全体の持続可能性を確保するための根本的な取り組みといえます。


【地方創生の4つの基本目標】
① 地方に仕事をつくる
・地域産業の競争力強化
・新たな産業・事業の創出
・起業・創業の促進
・人の流れをつくる

② 地方への移住・定住促進
・関係人口の創出・拡大
・大学等の地域定着

③ 結婚・出産・子育ての希望をかなえる
・少子化対策の推進
・子育て支援の充実
・働き方改革の推進

④ 魅力的な地域をつくる
・地域の魅力向上
・安全・安心な暮らしの実現
・地域連携の推進



地方創生2.0の特徴
2024年、地方創生開始から10年を迎えて策定された 「地方創生2.0」 では、これまでの取り組みの反省を踏まえ、より実効性のある新戦略が打ち出されています。

【地方創生2.0の重点ポイント】
・若者・女性に選ばれる地域づくりへの重点化
・デジタル技術の積極活用による課題解決
・関係人口の創出・拡大による地域との多様な関わり
・地域資源の高付加価値化と競争力強化
・広域連携による効率的な取り組み

この新戦略では、従来の「移住・定住」だけでなく、副業・兼業による地域貢献や、関係人口としての継続的な地域との関わりが重要な柱として位置づけられています。


4. あなたのスキルが地域を変える力:副業・兼業による地域貢献


新たな人材活用モデルの登場
地方創生2.0では、副業・兼業による都市部人材の活用が重要な戦略として位置づけられています。
これは従来の「移住・定住」だけでは解決できない地域課題に対する新たなアプローチです。

【副業・兼業による地域貢献の特徴】
・継続的な関わり:短期間ではなく中長期的な支援が可能
・専門スキルの活用:都市部で培った高度な専門知識を地域に還元
・リスクの分散:移住せずに地域貢献できるため参加ハードルが低い
・双方向の学び:地域からも新たな価値観や経験を得られる



地域が求める具体的なスキル
現在、地方の企業や自治体で特に求められているスキルは以下の通りです。

【高需要スキル分野】
◆ デジタル・マーケティング
・SNS運用、Webサイト制作・改善
・ECサイト構築・運営
・データ分析、デジタル広告運用
・SEO対策、コンテンツマーケティング

◆ 経営・戦略企画
・事業計画策定、新規事業開発
・業務プロセス改善、組織運営
・補助金申請支援、資金調達
・ブランディング、PR戦略

◆ 技術・システム開発
・Webシステム開発、アプリ制作
・AI・IoT導入支援、DX推進
・セキュリティ対策、クラウド移行
・データベース構築・運用

◆ 人材育成・教育
・研修プログラム開発・実施
・メンタリング、コーチング
・採用戦略策定、人事制度設計
・スキル開発支援



参画レベル別の選択肢
地方創生に貢献したいと考える方にとって、現在は多様な参画方法が用意されています。

◆ ライトな関わり(月1-2回程度)
・オンライン相談・アドバイス
・単発のセミナー・研修講師
・企画・戦略の提案・レビュー


◆ 継続的な関わり(月4-8時間程度) ・プロジェクトメンバーとしての参画
・定期的なメンタリング・コンサルティング
・地域イベントの企画・運営支援


◆ 本格的な関わり(週末中心の活動) ・地域企業の顧問・アドバイザー
・新規事業の立ち上げ支援
・地域コミュニティの核となる活動

現在、多くの地域であなたのような専門スキルを持つ人材を求めています。
デジタル技術の活用により、物理的な距離に関係なく、継続的で質の高い地域貢献が可能になっています。


副業や兼業で仕事をお探しなら「Otanomi」へ


Otanomiは、「副業・兼業から始める地方創生」をテーマに、地方自治体や企業の課題解決に対する取り組みにチャレンジできるサイトです。
Otanomi

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課題を見て自分にできそうだな、とお考えであれば応募をし、実際に自治体や企業の担当者と話をして、条件が一致すれば実際に仕事がスタートします。

応募をしてもいきなり採用されるわけではなく、しっかり話しを聞いたうえで判断ができるためお互いに安心できる環境が整っています。

フリーランス・副業・兼業などで地域と繋がってみたい際は、ぜひOtanomiをご利用ください。 副業からはじめたい場合も歓迎です。


まとめ


本記事では、地方創生はなぜ必要なのか、人口減少・産業衰退を背景について詳しく解説しました。

地方創生は、人口減少や産業衰退という深刻な課題に対峙する重要な国家戦略です。2024年の最新データが示す通り、40都道府県で転出超過が続き、出生率は過去最低を更新するなど、地方を取り巻く環境は厳しさを増しています。

しかし、地方創生2.0として新たに打ち出された戦略では、従来の移住・定住促進に加えて、副業・兼業による専門人材の活用が重要な柱として位置づけられています。デジタル・マーケティング、経営・戦略企画、技術・システム開発、人材育成といった分野で、都市部で培われたスキルが強く求められているのが現状です。

地方創生の成功は、政策だけでは実現できません。都市部で豊富な経験とスキルを持つ皆さんの参画こそが、持続可能な地方創生の実現に不可欠な要素なのです。週末の数時間から始められる地域貢献を通じて、あなたの専門性を活かして地域と共に成長する新たなキャリアの扉を開いてみてはいかがでしょうか。

関係人口という新たな概念により、移住せずとも継続的に地域と関わることで、知識・ノウハウの流入、人的ネットワークの拡大、イノベーションの促進といった効果が期待できます。

あなたのスキルが、地域の課題解決と持続可能な発展の鍵となり、同時に新たなスキル獲得や人的ネットワーク拡大、社会貢献の実感といった個人のメリットも得られるのです。