企業の社会貢献活動
「CSR・CSV」の違いと最新動向

地域創生・副業スキル活用で変わる社会貢献の新しいカタチ

みなさんこんにちは、Otanomiコラム担当です。
企業を取り巻く社会環境が大きく変化する中、企業の社会貢献活動への期待がこれまで以上に高まっています。

特に「CSR(企業の社会的責任)」と「CSV(共通価値の創造)」の違いを理解し、最新動向を把握することは、地域創生や副業・兼業でのスキル活用を考える方にとって重要な知識となっています。

本記事では、CSRとCSVの根本的な違いから、2024年の最新動向、さらには個人のスキルを活かした社会貢献の新しいアプローチまで、実例を交えながら詳しく解説します。
あなた自身の専門性を社会の役に立てる具体的な方法が見えてくるでしょう。

1. CSRとCSVの基本的な違いとは?社会貢献活動の概念を正しく理解しよう


CSR(企業の社会的責任)の本質
CSR(Corporate Social Responsibility)とは、企業が利益追求だけでなく、社会や環境、ステークホルダーに対して責任を果たす活動全般を指します。

経団連が2024年に実施した「社会貢献活動に関するアンケート調査」 によると、回答企業の97%が社会貢献活動の観点からの支援を実施しており、活発な取り組みが行われています。

【CSRの主な特徴】
■必ずしも事業と直接関係のない社会貢献活動も含む
■企業イメージの向上やステークホルダーとの信頼関係構築が主な目的
■短期的には直接的な収益につながらないことが多い
■「守りの戦略」としてのコストセンター的な位置づけ

【具体例】
■IT企業による海岸清掃活動
■製造業による地域の学校への図書寄贈
■災害時の支援物資提供
■地域イベントへの協賛



CSV(共通価値の創造)の革新的アプローチ
一方、CSV(Creating Shared Value)は、2011年にハーバード大学のマイケル・ポーター教授によって提唱された概念で、「社会課題の解決と企業の利益を同時に実現する」経営手法です。
CSVでは社会課題をビジネスチャンスと捉え、事業活動を通じて社会問題を解決しながら経済的価値も創出します。

【CSVの主な特徴】
■社会価値と経済価値を同時に創造することが前提
■事業活動そのものが社会課題の解決につながる
■プロフィットセンターとして機能
■「攻めの戦略」として競争優位を構築


【成功事例:伊藤園の「茶産地育成事業」
伊藤園は1976年から茶農家との「契約栽培」と荒廃農地の「新産地事業」を推進し、2013年には優れた経営戦略としてポーター賞を受賞しています。
この取り組みでは以下の価値を同時に実現しています。

■社会価値: 遊休農地の活用、地域雇用の創出、食料自給率の向上
■経済価値: 高品質な茶葉の安定調達、サプライチェーンの強化
■実績: 2023年4月時点で展開総面積2,437ha、2030年度には2,800haまで拡大予定



両者の決定的な違い
<CSR>
■目的:社会的責任を果たす
■事業との関連:事業と無関係な活動も含む
■収益性:短期的には収益に直結しない
■位置づけ:コストセンター
■戦略タイプ:守りの戦略

<CSV>
■目的:社会価値と経済価値の同時創造
■事業との関連:事業活動そのものが社会課題解決
■収益性:持続的な収益創出を目指す
■位置づけ:プロフィットセンター
■戦略タイプ:攻めの戦略

この違いを理解することで、あなた自身がどのような形で社会貢献に関わることができるのか、その可能性が見えてくるでしょう。


2. 2024年最新動向:ESG投資とSDGsが変える企業の社会貢献


ESG投資の急速な拡大と企業価値への影響
2024年の日本におけるサステナブル投資は驚異的な成長を遂げています。
日本サステナブル投資フォーラム の最新調査によると、以下のような状況となっています。

【2024年のサステナブル投資データ】
■投資残高: 625兆6,096億円(前年比+16.6%)
■総運用資産に占める割合: 63.5%
■評価軸: Environment(環境)・Social(社会)・Governance(ガバナンス)

【ESG投資がもたらす具体的なメリット】
■資金調達コストの低減
■優秀な人材の獲得・定着
■長期的な事業リスクの軽減
■企業価値の継続的な向上
■ステークホルダーからの信頼獲得

これは単なる社会的評価の向上にとどまらず、企業経営においてサステナビリティが「コスト」ではなく「投資」として捉えられるようになってきたことを意味します。



SDGs達成に向けた企業の取り組み強化
経団連の2024年版調査では、企業が重点を置く社会貢献活動の分野と、その効果が明確になっています。

【重点分野(回答企業の割合)】
■環境分野: 88%
■次世代育成: 69%
■地域コミュニティ: 68%

【社会貢献活動による人材育成効果】
■社員が社会的課題に触れて成長する機会:77%
■社員のモチベーション向上や帰属意識の強化:74%

これは、社会貢献活動が単なる対外的なアピールではなく、組織内部の人的資本経営の重要な要素として位置づけられていることを意味します。

あなたが副業やプロボノ活動を通じて社会貢献に関わることは、自身のスキルアップとキャリア開発にも直結する可能性があるのです。



デジタル化による新しい社会貢献のカタチ
2024年の動向として特徴的なのが、デジタル技術を活用した社会貢献活動の拡大です。

ソフトバンクの地域密着CSR活動:ソフトバンク
■拠点数: 北海道から九州・沖縄まで全国9拠点
■配置人材: 経験・実績豊富なシニア社員約60名
■活動内容: 各地域の社会課題にICT技術を活用したソリューション提供
■連携先: 自治体、地域企業、大学など

このような取り組みは、あなたが持つIT・デジタルスキルを地域貢献に活かせる具体的な道筋を示しています。リモートワークの普及により、地理的な制約を超えて地方の課題解決に貢献できる環境が整ってきているのです。


3. プロボノと副業を活用した個人の社会貢献スキル


プロボノ活動の概念と広がり
プロボノ(Pro Bono)とは、職業上の専門知識やスキルを無償で社会貢献活動に提供することです。近年、ビジネスパーソンの間で急速に関心が高まっています。

【プロボノへの関心度】
■エン・ジャパンの調査:75%のビジネスパーソンが副業・プロボノに「興味がある」
■経団連調査:37%の企業が社員のプロボノ活動を支援

【プロボノ活動の魅力】
■金銭的な対価を求めない分、純粋に社会課題の解決に集中できる
■副業禁止の企業でも認められる可能性が高い
■新しい分野にチャレンジし、人脈を広げる絶好の機会
■本業では得られない経験とスキルアップが可能
■社会に直接貢献している実感を得られる

これは、あなたがプロボノ活動に参加する際に、所属企業からのサポートを得られる可能性が高まっていることを意味します。



地域創生と副業の融合による新しい働き方
地方副業という新しい働き方が注目を集めています。これは都市部で培ったスキルを地方の課題解決に活かし、地域貢献しながら収入アップ・スキルアップを目指すアプローチです。

■地方副業の成果(総務省調査より):総務省
・地元企業の収益力向上
・雇用の拡大
・副業人材の地域への愛着形成
・関係人口の拡大

■地方副業を積極募集している地域
・京都府北部地域:「海の京都」未来共創ネットワーク
・和歌山県:副業兼業人材募集プロジェクト
・福島県会津若松市:中小企業デジタル化支援
・宮崎県・福岡県:副業人材誘致プロジェクト など

これらの地域では、都市部の専門人材と地方企業をマッチングするプラットフォームを活用し、双方にメリットのある関係を構築しています。



スキル活用の具体的な領域と可能性
厚生労働省の「副業・兼業の事例集」 によると、以下のような分野で副業・兼業人材が活躍しています。

【1】 教育分野
■専門学校や大学の非常勤講師
■企業研修の講師
■オンライン講座の企画・運営

【2】地域課題解決
■自治体やNPOと提携したプロジェクト
■マーケティング、IT、経営戦略などの専門スキル活用
■地域ブランディングや観光振興

【3】デジタル支援
■ITスキルを活用した中小企業支援
■デジタル人材不足に悩む地方企業への技術支援
■DX(デジタルトランスフォーメーション)推進のサポート

【4】専門コンサルティング
■財務・会計の専門知識を活かした経営支援
■人事・組織開発のアドバイス
■法務・知的財産の相談対応

これらの活動は、個人のスキルアップと社会貢献を同時に実現するCSV的なアプローチとして注目されています。本業では経験できない新しい業界や課題に触れることで、あなた自身の視野が広がり、キャリアの可能性も拡大するでしょう。


4. 地域創生における企業と個人の新しい連携モデル


大企業と地域の連携による相乗効果
地域創生におけるCSV経営の実践では、外部パートナーとの協業が欠かせない要素となっています。産業クラスターとは、企業や関係組織が一定地域に集まり、互いに競争・協力しながらイノベーションを重ねることで産業育成と地域振興を目指す概念です。

【村田製作所の包括的社会貢献活動(2024年度)】
■総支出額: 約894百万円
■計上項目: 寄付金、広告費、勤務時間内の活動参加従業員の労務費
■特徴: 社会貢献活動を本業の一部として真剣に捉えている

このような取り組みは、企業が社会貢献活動を単なる付帯業務ではなく、経営の中核として位置づけていることを示しています。



中小企業による地域貢献イノベーション
大企業だけでなく、中小企業による地域貢献の革新的な事例も増えています。

【銀河鉄道株式会社(東京都東村山市)の事例】
■課題: 大手バス会社が採算性の理由で参入しない不便な地域
■解決策: 10~15分間隔で170円の低料金バス運行
■成果: 地域の利便性向上と事業収益の両立を実現

このような事例は、社会課題の解決がビジネスチャンスになり得ることを具体的に示しています。あなたが副業として関わる地域企業が、このような革新的な取り組みを生み出す可能性は十分にあるのです。



個人スキル活用の新プラットフォームと実践例
個人が地域創生に参加できる仕組みが急速に整備されています。

【広がる副業・プロボノのプラットフォーム】
■サービスグラント「ふるさとプロボノ」
■スキルシフト(地域企業と都市部副業人材のマッチング)
■各自治体の副業人材募集サイト
■地域活性化起業人制度

【実績データ(2024年)】
■全国の自治体: 約10%が複業人材を登用
■地域活性化起業人: 779名(活用自治体449団体、派遣企業330社)
■成功事例: 千葉県茂原市でふるさと納税額が前年度比1.9倍、三重県桑名市で採用力強化

これらのプラットフォームを活用することで、あなたも自分のスキルを活かせる地域プロジェクトを見つけることができるでしょう。大手通信会社で働く傍ら副業として地方創生プロジェクトを手がける専門人材が増加しており、都市部の専門スキルと地方のニーズをマッチングする新しいモデルが確立されつつあります。


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まとめ


本記事では、企業の社会貢献活動(CSR・CSV)の違いと最新動向について詳しく解説しました。
企業の社会貢献活動は従来のCSRから価値創造型のCSVへと進化し、2024年のESG投資は625兆円を超え、企業価値向上の重要な要素となっています。

個人レベルでも副業やプロボノを通じた社会貢献の機会が急速に拡大し、全国の自治体の約10%が複業人材を登用する時代になりました。リモートワークの普及により地理的制約を超えた活動が可能となり、あなたの専門スキルを地方の課題解決に活かせる環境が整っています。

今こそ、自分自身の専門性を活かした社会貢献活動に一歩踏み出し、スキル向上と社会への貢献を同時に実現するWin-Winの関係を築いてみませんか。