【高市政権×地方創生】
「地域未来戦略」を動かす人材戦略

外部人材が地方創生の鍵を握る理由

みなさんこんにちは、Otanomiコラム担当です。

2025年11月、高市早苗首相率いる新政権は「地域未来戦略本部」を創設し、日本の地方創生に新たな風を吹き込もうとしています。その目玉政策が「地域未来交付金」の新設です。この交付金は、地場産業の付加価値向上や販路開拓、さらには地域ごとの産業クラスター形成を支援し、地方経済を活性化させることを目的としています。

しかし、どれほど優れた政策や潤沢な資金があっても、それを実行に移す「人材」がいなければ絵に描いた餅に終わってしまいます。

高市政権の地域未来戦略を成功に導く最大の鍵は、外部人材、特に都市部で培われた専門性をいかに地方に結びつけるかという人材戦略にあります。

本記事では、地域未来戦略が直面する人材課題と、それを解決するための多様な人材活用の仕組み――地域活性化起業人制度、企業人材派遣、副業・兼業、移住など――について詳しく解説します。

1. 高市政権が掲げる「地域未来戦略」とは何か


従来の地方創生から経済重視型へシフト
高市政権が2025年11月に発足させた地域未来戦略本部 は、石破前政権が設置した地方創生関連本部を衣替えする形で誕生しました。最大の特徴は、人づくりや移住促進といったソフト面に加えて、産業振興や投資呼び込みといった経済政策に軸足を置いた点にあります。

高市首相は初会合で「大胆な投資促進策とインフラ整備を一体的に講じることで地方に投資を呼び込み、地域ごとに産業クラスターを戦略的に形成する」と明言。地場産業の成長戦略や産業集積地の形成を通じて、地方から日本全体を成長軌道に押し上げるという強い意志を示しました。

この政策転換について、秋田魁新報の社説では「石破氏が人づくりや移住・交流の促進を重視したのに対し、高市氏は地域産業振興に軸足を置いた」と分析されています。



「地域未来交付金」が地方の可能性を解き放つ
この新政策の中核を担うのが「地域未来交付金」です。
この交付金は、従来の地方創生施策の枠を超え、各自治体が策定する産業クラスター計画や地場産業の成長戦略を強力に後押しします。

【地域未来交付金の主な支援対象】
■地場産業の付加価値向上と販路開拓
■地域ごとの産業クラスター(集積地)の形成
■半導体やAIなど先端技術分野への投資促進
■世界をリードする技術・ビジネスの創出
■産業用地の確保とインフラ整備

また、産業用地の確保を促す規制緩和や、緑地・工業用水に関する規制見直しも2026年5月までに実施予定です。地方が抱える用地不足やノウハウ不足といった課題を解決し、企業が地方に投資しやすい環境を整備する方針となっています。


2. 地域未来戦略が直面する最大の課題――「人材」という壁


高市政権の地域未来戦略は、産業振興と投資呼び込みを通じて地方経済を底上げする野心的な政策です。しかし、この戦略を実行するうえで地方が直面している最大の課題が「人材不足」です。


地方の人材課題:量と質の両面から深刻化
日本の地方圏では人口減少と高齢化が急速に進行しており、企業や自治体は深刻な人材不足に直面しています。特に深刻なのは以下の3つの領域です。

【地方が不足している専門人材】
①産業振興・事業開発の専門家
地場産業の付加価値向上、新規事業開発、産業クラスター形成には、マーケティング、ブランディング、事業戦略立案といった高度な専門性が必要です。しかし、こうしたスキルを持つ人材は都市部に集中しており、地方企業が獲得するのは容易ではありません。


②デジタル・IT人材
自治体DX推進、地域企業のデジタル化、データ活用による政策立案など、デジタル人材へのニーズは急速に高まっています。しかし、IT人材の地方での確保は全国的に困難を極めています。


③先端技術・研究開発人材
半導体、AI、バイオテクノロジーなど、高市政権が重視する先端産業の集積には、研究開発人材や技術者が不可欠です。しかし、こうした人材は大都市圏の大学・研究機関・企業に集中しています。



なぜ地方は人材を確保できないのか
地方の人材確保が困難な背景には、構造的な問題があります。

■正社員としての移住ハードルの高さ - 家族、住居、教育環境など、移住には多くの障壁が存在
■給与・待遇面での都市部との格差 - 地方企業は都市部企業と採用競争で不利
■キャリアパスへの不安 - 地方でのキャリア形成に不安を感じる若手人材
■地域内での専門人材育成の限界 - 短期間で高度な専門性を持つ人材を育てるのは困難


このような状況下で、地方が地域未来戦略を推進していくためには、従来とは異なる人材活用のアプローチが求められています。


3. 外部人材・都市部人材を地方に結びつける多様な仕組み


地方の人材課題を解決するカギは、「移住前提の正社員採用」という従来の発想から脱却し、多様な形で外部人材・都市部人材を活用することにあります。

国や自治体、企業は、様々な制度や仕組みを通じて、都市部の専門人材が地方に関わる道を整備しています。ここでは、その代表的な取り組みを紹介します。



①地域活性化起業人制度――企業人材の地方派遣を支援
総務省が推進する「地域活性化起業人制度」 は、企業の社員を地方自治体に派遣し、地域貢献活動を支援する仕組みです。

【制度の特徴】
■ 企業に在籍したまま、一定期間地方自治体で活動
■ 給与は企業が支払い、自治体は必要経費を負担
■ 社員は地域課題解決に取り組みながら、スキルアップと社会貢献を実現
■ 自治体は専門人材を期間限定で活用できる

【活用実績】
◼︎ ソフトバンク、富士通Japan、日本航空などの大手企業が積極参加
◼︎ 派遣実績は過去最高を記録
◼︎ 企業側も社員のスキルアップや社会貢献の機会として評価


この制度により、都市部の大企業で培われた経営ノウハウ、マーケティング戦略、デジタル技術などが地方自治体に移転され、地域活性化の推進力となっています。



②プロフェッショナル人材事業――地方企業と都市部人材のマッチング
内閣府が推進する「プロフェッショナル人材事業」は、地方企業の経営課題解決のために、都市部の高度専門人材とのマッチングを支援する取り組みです。

【事業の特徴】
■ 各都道府県に「プロフェッショナル人材戦略拠点」を設置
■ 地方企業のニーズをヒアリングし、最適な人材を紹介
■ 正社員だけでなく、顧問、副業・兼業など多様な形態に対応
■ 経営戦略、販路開拓、技術開発など幅広い分野をカバー

この仕組みにより、地方企業は自社だけでは接点を持てなかった都市部の専門人材とつながることができます。



③副業・兼業人材の活用――柔軟な働き方で地方に貢献
近年特に注目されているのが、都市部で働く人材が副業・兼業という形で地方プロジェクトに参画するアプローチです。

【副業・兼業人材の強み】
■ 移住不要 - 本業を続けながら、リモートや定期訪問で地方に関われる
■ 即戦力の専門性 - 都市部で培ったマーケティング、IT、経営戦略などの高度なスキル
■ 外部視点 - 地域の固定観念にとらわれない新しい発想を提供
■ コスト効率 - フルタイム雇用のコストをかけずに専門性を獲得可能


【副業・兼業での活躍事例】
◯石川県輪島市の輪島塗
都市部のデザイナーやマーケティング専門家が副業として参画し、若い世代や海外市場にアピールする現代的なプロダクトを開発。伝統技術を守りながら新たな顧客層を開拓しています。

◯新潟県津南町の日本酒メーカー
ブランディングの専門家が副業で参画し、地元産コシヒカリを使った高付加価値商品を企画。地域ブランド価値の向上と農業の6次産業化に貢献しています。

◯岡山市の自治体DX推進
総務省の「副業型地域活性化起業人」制度を活用し、都市部のIT人材と自治体職員が協働。オンライン申請システムの導入支援やデータ活用による政策立案のアドバイスを実施しています。

高市政権の「地方創生2.0基本構想」では、副業・兼業による専門人材の活用を2027年度までに1万人とする目標が掲げられ、副業人材の地方展開が国家戦略として位置づけられています。



④関係人口の創出――段階的な地方との関わりを促進
「関係人口」とは、移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域と多様に関わる人々を指す概念です。

【関係人口の関わり方】
■ 定期的な地域訪問とプロジェクト参画
■ ふるさと納税やクラウドファンディングを通じた支援
■ 地域のファンとしての情報発信
■ 特定のイベントやプロジェクトへのスポット参加

関係人口の中から、副業・兼業人材が生まれ、さらには移住や起業につながるケースも増えています。地方にとって、関係人口は将来の人材確保のための「育成プール」としても機能しているのです。



⑤二拠点居住・移住支援――本格的な地方定着を促進
より本格的に地方に関わりたい人材に対しては、二拠点居住や移住を支援する制度も充実しています。

【支援制度の例】
■ 移住支援金(最大100万円)の支給
■ 住宅取得・改修費用の補助
■ 起業支援金の提供
■ お試し居住施設の整備
■ 移住相談窓口・マッチング支援


こうした制度により、副業や関係人口として地方と関わった後、段階的に移住や起業へとステップアップする道筋が整備されています。


4. 外部人材が地方創生の現場で生み出している成果


ここまで紹介してきた様々な仕組みを通じて、外部人材・都市部人材は地方創生の現場で確実に成果を生み出しています。ここでは、3つの重要領域での活躍を見ていきましょう。


領域①:地場産業の再生とブランド価値向上
地方には伝統工芸や農林水産業といった豊かな地場産業が存在しますが、後継者不足や販路の限定といった課題を抱えています。ここに外部人材が参画することで、伝統と革新を融合させた新しいビジネスモデルが生まれています。

外部人材は、地域に根ざした資源や技術はそのまま活かしながら、都市部のマーケティングやデザインの知見を掛け合わせることで、新たな価値を創出しています。地域の強みを再発見し、現代のニーズに合わせて磨き直す――これが外部人材の大きな役割です。



領域②:産業クラスター形成の戦略立案と実行
高市政権が重視する産業クラスター形成においても、外部人材の役割は重要です。半導体やAI、バイオテクノロジーといった先端産業の集積を地方で実現するには、産業用地の確保だけでなく、戦略的なエコシステムの設計が不可欠です。

都市部で産業振興やスタートアップ支援に携わってきた人材が地方自治体の産業クラスター計画策定に参画することで、実効性の高い成長戦略を描くことができます。また、企業誘致や大学・研究機関との連携においても、豊富なネットワークを持つ外部人材の存在は大きな武器となります。



領域③:自治体DXと行政サービスの革新
地方自治体のデジタル化は喫緊の課題ですが、ITの専門人材が不足している自治体も少なくありません。
ここで活躍しているのが、都市部のIT企業で働く外部人材です。

【自治体DXでの外部人材の活用例】
■ オンライン申請システムの導入支援
■ データ活用による政策立案のアドバイス
■ 職員向けデジタルスキル研修の実施
■ 住民向けデジタルサービスの企画・設計

外部人材が「第三者の専門家」として関わることで、自治体内部では気づきにくかった課題が可視化され、解決への道筋が明確になるケースが多いのです。


5. 都市部人材が地方に関わることで得られるメリット


ここまでは主に地方側のメリットを中心に見てきましたが、都市部人材が地方創生に関わることは、働き手自身にとっても大きな価値があります。


①社会貢献の実感とやりがい
地方創生に携わる最大の魅力は、自分が持つスキルや経験を活かして地域課題の解決に直接貢献できる点にあります。本業では味わえない「社会貢献の実感」や「地域の人々との深いつながり」は、多くの人が活動を続ける原動力となっています。


②新しいスキルとネットワークの獲得
地方での活動がもたらすキャリア上のメリットは多岐にわたります。

【地方活動を通じて得られるもの】
■ 視野の拡大 - 本業とは異なる分野や業界に触れる機会
■ スキルの多様化 - 小規模組織での意思決定や地域全体を巻き込むプロジェクトマネジメントを経験
■ 人的ネットワーク - 地方の経営者、自治体職員、地域住民との信頼関係構築
■ キャリアの選択肢拡大 - 将来的な転職や起業の可能性が広がる

大企業では経験できない「小回りの利く意思決定」や「顔の見える関係性での仕事」は、ビジネススキルを確実に進化させます。


③柔軟な働き方とライフスタイルの充実
リモートワークの普及により、地方との関わりは以前よりもずっと取り組みやすくなりました。オンライン会議ツールを活用すれば、東京にいながら地方プロジェクトに参画できます。また、月に数回の現地訪問で地域の魅力を体験しながら仕事をする、週末や休暇を利用した地方滞在型の働き方も可能です。

都市と地方を行き来する「デュアルライフ」を実現することで、仕事だけでなく人生そのものが豊かになったと語る人も少なくありません。


④将来的な地方移住・起業のステップとして
地方との関わりは、将来的な移住や地方での起業を考える際の貴重な「お試し期間」になります。地域の実情を深く理解し、信頼関係を築いた上で次のステップに進めるため、リスクを抑えた移行が可能です。

実際に、副業や関係人口として始めて最終的に地方に移住し、地域に根ざした事業を立ち上げたケースも数多く報告されています。

副業や兼業で仕事をお探しなら「Otanomi」へ


Otanomiは、「副業・兼業から始める地方創生」をテーマに、地方自治体や企業の課題解決に対する取り組みにチャレンジできるサイトです。
Otanomi

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課題を見て自分にできそうだな、とお考えであれば応募をし、実際に自治体や企業の担当者と話をして、条件が一致すれば実際に仕事がスタートします。

応募をしてもいきなり採用されるわけではなく、しっかり話しを聞いたうえで判断ができるためお互いに安心できる環境が整っています。

フリーランス・副業・兼業などで地域と繋がってみたい際は、ぜひOtanomiをご利用ください。 副業からはじめたい場合も歓迎です。


まとめ


本記事では、高市政権の地域未来交付金で加速する地方創生/副業人材が今、求められる理由ついて詳しく解説しました。

高市政権が掲げる「地域未来交付金」と「地域未来戦略本部」の創設は、地方創生 2025 政策の新たな幕開けを告げるものです。産業クラスター形成や地場産業の成長戦略を通じて、地方から日本全体を活性化させるという明確なビジョンが示されました。

そして、この野心的な政策を実現するために不可欠なのが、都市部で培った専門性を持つ副業人材の力です。彼らは外部視点と即戦力スキルを武器に、地域課題の解決や新しい価値創造の担い手として活躍しています。

あなたが今、本業で培ってきたスキルは、地方のどこかで必要とされているかもしれません。副業という柔軟な働き方を通じて地方創生に参画することは、地域への貢献だけでなく、あなた自身のキャリアやライフスタイルを豊かにする選択肢となるでしょう。

高市政権の新しい地方創生政策が動き出す今こそ、地方と都市をつなぐ架け橋として、あなたの力を活かしてみませんか。