【地方の仕事の未来はどう変わる?】
副業・兼業が前提になる理由

みなさんこんにちは、Otanomiコラム担当です。

「地方で働きたいけれど、移住までは考えていない」「今のキャリアを活かして地域に貢献したい」
――そんな声が、都市部で働く20代後半から40代前半の社会人から増えています。

一方で、地方自治体や地域企業の担当者からは「専門人材が欲しいが、常勤雇用は難しい」という悩みが聞かれます。


実は今、地方の仕事のあり方が大きく変わり始めています。これまでの「人手不足を埋める仕事」から、「専門性を活かしてプロジェクトを動かす仕事」へ。
そして、その中心にあるのが副業・兼業という新しい働き方です。

本記事では、地方の仕事がなぜ副業・兼業前提へと変化しているのか、その背景から未来像まで、具体的な事例とともに詳しく解説します。

1. 地方の仕事が変わり始めた背景


深刻化する地方の人手不足と採用課題
地方における人材不足は、もはや一時的な課題ではありません。日本政府の「地方創生2.0基本構想」によると、2015年から2050年までの35年間で、地方圏の人口は約50万人減少すると予測されています。

【地方の人手不足の実態】
■生産年齢人口の急激な減少:15〜64歳の働き手が年々減少し、地域の労働力が枯渇
■若年層の都市部流出:大学進学や就職を機に若者が都市部へ移動し、戻らない
■高齢化の加速:地方では高齢化率が40%を超える地域も増加
■採用市場の縮小:求人を出しても応募がない、面接まで進まない状況が常態化

2026年最新の調査では、ホテル・旅館の6割以上が深刻な人材不足に直面しており、特に地方部での採用難が顕著になっています。



正社員採用が困難になっている現実
地方企業が直面している最大の課題は、正社員としての常勤雇用が極めて難しくなっていることです。この構造的な課題が、副業・兼業モデルへの移行を加速させています。

【正社員採用が困難な理由】
【1】採用市場における競争激化
・都市部企業との給与格差により、優秀な人材が流出
・地方の中小企業は大手企業との採用競争に勝てない
・リモートワークの普及で、地方在住者も都市部企業に就職可能に

【2】経営資源の制約
・限られた予算の中で高度な専門人材を正社員として雇用する余裕がない
・年間500万〜800万円の人件費負担が経営を圧迫
・社会保険料や福利厚生費を含めると、さらにコスト増

【3】業務量と専門性のミスマッチ
・必要なのは週2日程度の専門スキルだが、フルタイム雇用しかできない
・デジタルマーケティングやDXなど、一時的に必要な専門性も存在
・常時必要ではない業務のために正社員を雇用できない

【4】採用活動自体の負担増
・求人広告費用の高騰(1件あたり数十万円)
・採用活動に割ける人員・時間が限られている
・採用しても早期離職のリスクが高い


<実際の企業の声>
「営業担当を1名採用したいが、3ヶ月間求人を出しても応募ゼロ」
「専門知識を持つ人材が欲しいが、年収600万円以上は予算的に厳しい」
「フルタイムで雇うほどの業務量はないが、専門スキルは必要」

このような採用難の状況が、地方企業を「正社員採用から副業・兼業活用へ」とシフトさせる大きな要因となっています。



人数より「スキル・経験」が求められる課題の増加
地方が抱える課題は、かつての「単純な人手不足」から質的に変化しています。現在求められているのは、高度な専門性を必要とするプロジェクト型の業務です。

【求められる専門性の例】
■デジタルトランスフォーメーション(DX):業務のデジタル化、ITツール導入
■ECサイト構築:オンライン販路の拡大、デジタルマーケティング
■インバウンド観光戦略:多言語対応、SNS活用、観光コンテンツ企画
■新規事業の企画:事業計画策定、市場調査、ビジネスモデル構築

パーソルキャリアの調査 によると、地方企業の副業・フリーランス活用は前年比234%増加しており、特に「IT・人事・新規事業開発」分野での専門人材の支援が拡大しています。 この変化は、地方の仕事が「量」から「質」へと移行していることを明確に示しています。



国の政策が後押しする構造変化
こうした変化を後押ししているのが、国の政策です。
2025年6月に閣議決定された「地方創生2.0基本構想」では、関係人口を活かした都市と地方の人材交流が明確に位置づけられました。

具体的には、総務省が推進する「都市部人材の地方活用」では、2026年度に副業型が91名、企業派遣型が780名と過去最高を記録しています。

さらに注目すべきは、2025年6月に総務省が発出した通知により、“地方公務員の副業制限が大幅に緩和された”ことです。これまで「営利企業での兼業は原則NG」とされていた制限が緩和され、条件を満たせば民間企業での副業も可能になりました。


こうした政策的な後押しにより、都市部の専門人材が副業・兼業という形で地方と関わる環境が急速に整備されつつあります。地方の仕事は、国の人材政策とも連動しながら、構造的な変化を遂げているのです。


2. これから増える地方の仕事の特徴


副業・兼業前提の業務設計
これからの地方の仕事は、副業・兼業を前提とした業務設計が増えてきています。従来のような「週5日フルタイム勤務」を想定するのではなく、「週に1日」「月に数回」「プロジェクト期間は3ヶ月」といった柔軟な関わり方を前提にした案件が登場しています。

【新しい働き方の特徴】
■週5日フルタイム勤務ではなく、「週に1日」「月に数回」の柔軟な関わり方
■プロジェクト期間は「3ヶ月」「半年」など明確に設定
■必要なスキルをピンポイントで調達できる仕組み
■人材は自分の専門性を活かしながら地域貢献できる

日本政策金融公庫の研究によると、副業・兼業による都市部人材の活用は、地方の中小企業における人材不足解消の有効な一手として位置づけられています。

この働き方のメリットは、企業側と人材側の双方にあります。企業は必要なスキルをピンポイントで調達でき、人材は自分の専門性を活かしながら地域貢献できるのです。



オンライン×現地を組み合わせた働き方
地方副業の大きな特徴は、オンラインと現地訪問を組み合わせたハイブリッド型の働き方です。日常的なコミュニケーションやプロジェクト管理はオンラインで行い、重要な打ち合わせや現場確認が必要な際には実際に地域を訪れる――こうした柔軟な働き方が主流になっています。

【ハイブリッド型の働き方】
■日常業務:オンラインでコミュニケーション、プロジェクト管理
■重要局面:現地訪問で打ち合わせ、現場確認、関係構築
■メリット:都市部に住みながら地方の仕事に深く関われる
■実績:地方副業の仲介数は2025年上期に前年同期比2.2倍に達成

この働き方により、都市部に住みながらも地方の仕事に深く関わることが可能になり、「移住しなければ地方で働けない」という従来の制約が取り払われました。



成果・役割が明確なプロジェクト型
地方の仕事は、成果や役割が明確に定義されたプロジェクト型へとシフトしています。「何となく手伝ってほしい」ではなく、「3ヶ月でECサイトを立ち上げる」「半年で観光PRの動画を制作する」「新規事業の事業計画を策定する」といった、ゴールが明確な仕事が増えています。

【具体的なプロジェクト例】
■広報・マーケティング: SNS運用、プレスリリース作成、ブランディング戦略の立案
■事業企画: 新規事業の立ち上げ、事業計画の策定、市場調査
■DX・業務改善: 業務プロセスのデジタル化、ITツール導入支援、データ分析
■新規事業伴走: スタートアップ支援、経営コンサルティング、事業モデルの検証

これらはいずれも専門性が求められる一方で、短期間での成果が期待される業務です。副業人材にとっては自分のスキルを明確に発揮できる場であり、企業にとっては投資対効果を測りやすいという利点があります。


また、マイナビの調査 によると、副業人材を受け入れた結果、「人手不足の解消」(32.7%)や「組織の活性化」(29.7%)、「生産性向上」(28.2%)への効果があることが明らかになっています。

このように、地方の仕事は「専門性」「柔軟性」「成果志向」という特徴を持つプロジェクト型へと進化しており、副業・兼業人材の活躍の場が確実に広がっています。



地域企業における実際の活用事例
実際に、地方企業では副業人材を活用して具体的な成果を上げています。

【成功事例】
■観光業:副業者4人のチームワークでワーケーション企画のPRに成功
■製造業:副業者のスキルで社員の働きやすい環境を整備
■小売業:ECサイト構築により売上30%増を達成
■自治体:SNS運用改善により移住相談件数が2倍に


このように、地方の仕事は「専門性」「柔軟性」「成果志向」という特徴を持つプロジェクト型へと進化しており、副業・兼業人材の活躍の場が確実に広がっています。


3. 「移住」がゴールではなくなる地方の仕事


住む場所 ≠ 働く場所
これまでの地方創生では、「移住」がゴールとして語られることが多くありました。しかし、地方創生2.0の時代において、その前提は大きく変わりつつあります。

【関係人口という新しい概念】
■移住でも観光でもない、地域と多様に関わる人々
■兼業や副業などの仕事を通じた関わり
■祭りやイベントの運営参画などファンベースの交流
■重要なポイント:住む場所と働く場所は必ずしも一致しなくてよい

政府の「地方創生2.0基本構想」では、関係人口 が中心的なキーワードとして位置づけられています。都市部に住みながら、オンラインと定期的な現地訪問を組み合わせて地方企業のプロジェクトに参画する――こうした働き方が、むしろ標準的なスタイルとなりつつあるのです。



副業・兼業 → 継続関与 → 深い関係
副業・兼業から始まる地方との関わりは、一時的なものではありません。

【関係構築の3つのステップ】
<第1段階>:副業として参画
短期的なプロジェクトで「試しに関わってみる」

<第2段階>:継続的な関与
信頼関係が構築され、複数のプロジェクトに参画

<第3段階>:深い信頼関係
地域の一員として認識され、長期的なパートナーに


【この段階的アプローチのメリット】
■いきなり移住を迫られない安心感
■お互いの相性を確認しながら関係を深められる
■都市部のキャリアを維持しながら地方貢献が可能

総務省の「二地域居住・関係人口ポータルサイト 」でも、地域との関わりづくりのためのイベントや交流プログラムが充実しています。



移住は「結果」であって「前提」ではない
重要なのは、移住は「前提条件」ではなく、関わりの「結果として起こりうる選択肢の一つ」だということです。

【新しい関わり方のパターン】
■副業として継続的に関わり続ける(移住しない)
■二拠点居住として都市と地方を行き来する
■最終的に魅力を感じて移住を決断する
■本業を地方企業に転職する

Job総研の調査 によると、副業経験者の4割が地方での仕事に関心を示しており、経験者の多くが「やりがい」や「社会貢献」を重視していることが分かっています。

【ポイント】
「移住はできないが、副業なら関われる」という都市部の専門人材は数多く存在しており、そうした人材こそが地方創生の鍵を握っています。


このように、地方の仕事は「移住前提」から「関係人口的な関わり」へと大きくシフトしており、多様な関わり方が認められる柔軟な環境が整いつつあります。


4. 地方側に求められる変化


副業・兼業人材を効果的に活用するためには、受け入れる地方側にも意識と体制の変革が求められます。

業務の切り出し力
副業・兼業人材を活用する上で最も重要なのが、業務を適切に切り出す力です。

【効果的な業務設計のポイント】
✓ プロジェクトの目的とゴールを明確に定義する
✓ 成果物や達成基準を具体的に設定する
✓ 必要な稼働時間と期間を現実的に見積もる
✓ オンラインで完結できる部分と現地が必要な部分を区別する
✓ 週に何時間の稼働が必要か、何ヶ月のプロジェクトかを明示する

❌悪い例: 「なんとなく手伝ってほしい」「できることをお願いしたい」

⭕️良い例: 「3ヶ月でECサイトを立ち上げ、月10件の受注を目指す(週8時間稼働)」

業務を適切に切り出すことで、副業人材は限られた時間の中で最大限の成果を発揮でき、企業側も投資対効果を明確に測ることができます。

◯参考:総務省 自治体DX推進参考事例集



外部人材と協働する前提のマネジメント
副業・兼業人材は、従来の正社員とは異なるマネジメントが必要です。

【新しいマネジメントの必須要素】
■コミュニケーション:Zoom、Slack、Teamsなどオンライン会議ツールの活用
■進捗管理:Asana、Trello、Notionなどプロジェクト管理ツールでの可視化
■情報共有:非同期コミュニケーションを前提とした文書化の徹底
■評価制度:成果ベースでの評価、時間ではなく結果を重視


【成功のコツ】
■定期的なオンラインミーティングで進捗確認
■レスポンスは24時間以内を目標に
■重要な決定事項は文書化して共有
■最初の1〜2週間は密にコミュニケーションを取る

十六総合研究所の報告書 でも、「地方の中小企業においては、都市部の専門人材を副業として活用することで、限られた人手でも成果を上げられる体制を築くことが人手不足時代の打ち手となる」と指摘されています。



成果を短期間で判断しない姿勢
副業・兼業人材の活用において、もう一つ重要なのが中長期的な視点です。
即戦力として期待される一方で、地域の文化や企業の事情を理解するには一定の時間が必要です。

【段階的な関係構築の重要性】
◎導入期:最初の1ヶ月/相互理解、文化の違いの認識
◎実践期:2〜3ヶ月目/協働スタイルの確立、成果の創出
◎発展期:4ヶ月目以降/より大きなプロジェクトへの拡大

【成功のポイント】
■最初のプロジェクトは小規模から始める
■信頼関係を構築してから規模を拡大
■都市部と地方の文化の違いを互いに理解する
■短期的な成果だけでなく、関係性の構築も評価する
■エコシステム全体での支援体制


個別企業だけでなく、地域全体で副業・兼業人材を支援する体制も重要です。
自治体、商工会議所、地域金融機関などが連携し、外部人材の受け入れをサポートするエコシステムを構築することで、より効果的な人材活用が可能になります。

【地域エコシステムの構成要素】
■自治体:制度整備、マッチング支援、財政支援
■商工会議所:企業間連携、ノウハウ共有
■地域金融機関:資金面でのサポート、事業評価
■大学・研究機関:専門知識の提供、人材育成

<実際の取り組み例>
茨城県では「副業で地域とつながるプロジェクト」を展開し、複数企業が参加するマッチングイベントを開催するなど、地域全体での取り組みが進んでいます。


このように、地方の仕事の未来は、受け入れ側の変革と密接に結びついています。業務の切り出し力、柔軟なマネジメント、中長期的視点、そして地域全体での支援体制――これらが揃って初めて、副業・兼業人材の力を最大限に引き出すことができるのです。


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まとめ


本記事では、地方の仕事の未来はどう変わる?副業・兼業が前提になる理由について詳しく解説しました。

地方の仕事は、「人手不足を埋める仕事」から「専門性を活かすプロジェクト型の仕事」へと大きく変化しています。その中心にあるのが副業・兼業という新しい働き方です。
国の政策も関係人口の創出を重点施策として後押しし、都市部に住みながら地方と深く関われる環境が整いつつあります。

地方側も業務の切り出し力や柔軟なマネジメントなど、外部人材と協働する体制を整えることが求められています。
地方の仕事は、やりがい・成長・社会性という価値により、都市部の優秀な人材に「選ばれる仕事」へと進化しているのです。