ホーム【事例2選】海外に学ぶ地方創生第3弾~ポーランド編~

【事例2選】
海外に学ぶ地方創生
第3弾~ポーランド編~

みなさんこんにちは、コラム担当のあらぽんです。
地方創生は、地域の経済や社会の発展を促進するための重要な取り組みです。その中でもポーランドは、独自の手法で地方創生を進めており、世界的に注目を浴びています。
今回ご紹介する地方創生に注力をしている地域は、ウッチ市とポズナン市の2地域についてです。

地方創生について


地方創生とは、少子高齢化で人口減少している社会を改善し、経済格差を埋めるために取り組んでいくことです。
詳細は「地方創生ってそもそも何?」を参考ください。

ポーランドってどんな国?


ポーランドは中欧に位置する国で、首都はワルシャワ、人口は約3775万(2021年時点)です。 歴史的な背景から多様な文化や伝統が根付いており、自然にあふれた美しいところです。 ポーランドはバルト海に面し、ドイツ、チェコ、スロバキア、ウクライナ、ベラルーシ、リトアニア、ロシアと国境を接しています。まあt、カトリック教徒が多数を広く、宗教が国民の生活に深く根付いています。

歴史は複雑であり、中世から始まってポーランド・リトアニア連邦として大きな国家を形成しました。しかし、18世紀末には分割され、独立。第二次世界大戦では激しい戦闘の舞台となったのは有名かと思います。そこから、ポーランドは立ち上がり現代のまちにまで生まれ変わりました。

また、文化遺産が多く、特に音楽、美術、文学などで有名です。フレデリック・ショパンやマリア・キュリーなど、多くの偉大な人物を輩出しています。

経済的には、中欧的な最も発展した国家の一つであり、EU加盟国として経済安定を楽しんでいます。観光地としても魅力的で、クラクフやワルシャワなどの歴史的な都市、タトラ山脈などの自然に触れたいと訪れる人々が多い場所です。

国際的な協力にも積極的で、NATOやEU、国連などに参加しています。最近では、科学技術やイノベーション分野でも注目を集めています。ポーランドは歴史と現代が交錯する国であり、その多様性と成長を見るために訪れる価値がある国です。

ポーランドの地方創生に対する取り組み


ポーランドの地方創生には、政府の取り組みと地方自治体の主導による、さまざまな取り組みがなされています。これらは、地域の経済成長や社会的発展を促進するために実施されています。
例えば、首都ワルシャワを中心とする都市部では、インフラ整備やビジネス環境の改善に注力しています。道路や鉄道網の拡充、公共交通機関の改善、高速インターネットの整備などが行われています。ビジネス環境の改善に向けた政策や法律も導入されており、新しい企業の進出や既存企業の成長を促進しています。

地方における取り組みとしては・・

・地域資源や産業を活用した地域振興
地方都市や田舎部においては、農業や林業、観光など、各地域の特産物や特色を活かした産業振興が推進されています。地元の企業や農家なども支援され、地域経済の活性化や雇用の創出が図られています。
また、地域教育をより強化するために学校や大学を充実させたり、文化振興につながるような施設の設置、地域の伝統を感じることのできるイベント開催などが行われています。
こうした取り組みが、若者の地元定着や文化交流の促進へとつながり、地域の活力や魅力の向上に貢献していると言えるでしょう。

ポーランドの地方創生【事例2選】


1. 【ウッチ市】衰退産業から新たな価値に入れ替え
・ウッチ市について
人口は約68万人(2019年時点)とワルシャワに次ぐ、国内第2位の都市です。
19世紀前半に紡績産業が盛んになり、国内や国外からも多くの人々が移住し、現在の大きな都市へと成長しました。現在は、テクノロジーを基礎とする企業が多数立地しており、都市の持続可能性のため、公共交通網が重要なインフラとなっています。

時代の移り変わりとともに、紡績産業が衰退産業となって、ほとんどの工場が閉鎖されてしまい、19世紀に紡績産業で成長した都市という誇りを町全体が失いかけていることが、課題としてありました。
これまでの歴史を大切に守り続けようと、紡績産業によって大都市に成長していきたい町全体の想いを継承。旧紡績工場や厚生施設、文化施設、宗教施設などを保存する活動が行われています。

また、旧紡績工場跡地を再開発し、200店舗を超えるブティックや30ほどの中規模店舗として、レストラン、映画館、ボーリング場、工場博物館などを有した、ヨーロッパでも有数の施設と生まれ変わっており、町に活気があふれ国内外からの人々が訪れるようになりました。
ウッチ市では、産業遺産を都市づくりへと活用しているのです。
2. 【ポズナン市】中長期に戦略的・計画的な都市再生
・ポズナン市について
ポーランド西部に位置する、最古の都市の一つで、人口は約50万人(2016年時点)の町です。古くから交易都市として栄えており、現在もポーランドを代表する商業都市として有名です。

市場主義経済(※1)のもとで都市再生が進められているポズナン市。
都市中心部での建物の形態的・機能的劣化や社会的・経済的衰退は一部地域において顕著となっています。こうした状況を食い止めるために、都市再生は緊急の課題でした。

商業やビジネス環境が良好な特定の地域においては、商業・オフィス施設などの新規立地、既存建築物の改修などを通じて徐々に形態的な更新や地域経済の活性化が進んでいったのです。

一方で、市内各所では手入れが不十分な建築物も多く見られ、また居住者の高齢化や失業者の増加などの問題を抱えた住宅地域が都心部周辺に多数残っています。

このような問題を抱えた地域を対象に、1994年に戦略的開発計画を策定、都市開発の基本方針を定めるとともに、2005年から2010年までの中期開発計画を定めました。
この中で優先順位の高い分野として8個示されており、雇用創出や交通網整備などと並び、中心部と郊外の居住環境整備の重要性が指摘され、それらを改善するための事業計画が進んでいます。

その居住環境整備において、郊外での宅地開発と都心周辺部の衰退地域の再生事業が中核に据えられ、都市再生事業の事業候補地として130を超える地区が選定されており、2008年8月の時点で実施されているものはパイロット事業の2か所。住民との意見交換をたびたび重ね、住民と共同しながら事業を進める制度を構築していっています。

※1・・市場主義経済:市場を通じて財・サービスの取引が自由に行われる経済のこと。

まとめ


ポーランドの地方創生における事例を2つご紹介しました。
この他にも、まだまだ知らない世界の地方創生への取り組みがあると思います。
ぜひこの機会に、他の地域についても興味を持つきっかけにしていただければと思います。
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