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地方創生に活かす!
~リスキリングの考え方~

みなさんこんにちは、コラム担当のてるじんです。
近年、日本では地方創生が重要な社会課題となっています。地方の活性化を図るためには、地域の特性やニーズに合った人材の育成が不可欠です。本記事では、地方創生の一環として重要な要素である「リスキリング」について探究し、地方での活用方法について考えていきます。

地方創生とは?


地方創生とは、少子高齢化で人口が減少している社会を改善し、経済格差を埋めるために取り組んでいくことです。具体的には、地域の産業振興、観光の活性化、地域コミュニティの形成など、様々な取り組みが行われています。

地方創生の中心となる「まち・ひと・しごと創生」では、基本方針や長期ビジョン、総合戦略などで、下記の4つの基本目標と2つの横断的な目標が定められています。

【4つの基本目標】
(1)稼ぐ地域をつくるとともに、安心して働けるようにする
(2)地方とのつながりを築き、地方への新しいひとの流れをつくる
(3)結婚・出産・子育ての希望をかなえる
(4)ひとが集う、安心して暮らすことができる魅力的な地域をつくる

【2つの横断的な目標】
(5)多様な人材の活躍を推進する
(6)新しい時代の流れを力にする

SDGsなどでも取り上げられているように、「多様性」は注目キーワードとなっています。
地方創生においても、多様な人々が個性を活かしていけるよう、政府や自治体が中心となり、副業・兼業人材の受け入れ環境を整備し始めています。
多くのビジネスパーソンにとって、「地方」との関わりは今後のキャリア形成において選択肢を増やすきっかけとなるのではないでしょうか。

詳しくは こちらでご紹介していますのでぜひお読みください。

リスキリングの定義


人生100年時代を自分らしく生きるための手段として浸透し始めたキーワード、それが「リスキリング」です。リスキリングとは、既存のスキルや知識を見直し、新しい仕事・職務に移行するためのスキル習得を意味します。
経済産業省はリスキリングを以下のように定義しています。

「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」

DXやAIに代表される新しい潮流。これまでのビジネスのルールや常識が通用しない変化に対し、どのように対応していくか、その一つの手段としてリスキリングが注目されています。

適切なリスキリングにより、誰もが「従来の経験、スキル」と「デジタル関連など新しいスキル」の組み合わせにより、新しい領域での挑戦が可能となります。

リスキリングが求められる背景


ここ十数年、技術や社会の変化が激しい中で、従来のスキルや知識だけでは生き残りが難しい時代が訪れています。

1.IT技術の発展による仕事の自動化
近年、IT技術の進化が著しくなって以降、テクノロジーの導入によりオートメーション化(※1)が加速、人間の雇用が失われる社会的課題が世の中で注目されています。
実際2013年には、オックスフォード大学のマイケル・オズボーン教授らによって「今後10〜20年の間にアメリカの総雇用者数の約47%の仕事が自動化により消失するリスクが高い」という衝撃的な発表がなされました。この発表から約10年が経過し、既に自動化が進んでいる職種も多く見受けられます。
いずれ日本でもオートメーション化による従来雇用の消失・現象は避けては通れない課題となることが予想されます。

2.IT化による仕事内容の変化
近年のテクノロジーの急速な進化に伴い、従来の雇用が消失する一方で、成長産業において新たな雇用が生まれることも予測されます。実際に2020年10月の世界経済フォーラムの年次総会において、「今後5年間で、テクノロジーの進化により8500万件の雇用が消失し、9700万件のあらたな雇用がうまれる」といった予測がされています。

3.労使関係の変化
新型コロナウイルス感染症の世界的流行により、人々の価値観や働き方に対する考え方に変化があったことも現在リスキリングが注目されている背景にあります。

4.世界で広まる大退職時代
こちらもコロナウイルスの流行に関連して、個人の価値観の変化や職場環境への不満、個人のキャリアへの不満などが原因で、大退職時代への対策としても、リスキリングは注目を集めています。

※1:オートメーション化・・機械・機器などが人の手を使うことなくコントロール・動作などを行うこと

リスキリングの現状【企業、地方、個人】


リスキリングの重要性は、企業、地方企業、そして個人にとっても共通しています。
1.企業の視点から見たリスキリング
企業としては、競争力のある人材を確保することが求められます。日々早いスピードで移り変わる技術や市場の変化に対応し、自社の方針や戦略の変更も求められることもあります。
その場合、方針や戦略の変更をするだけなく、それを実行するための人材の育成や確保もセットで必要となります。
そんな新たなビジネスチャンスを見つけるためには、社員のリスキリングが必要不可欠です。
2.地方企業の視点から見たリスキリング
地方では、都市部との人口や経済格差が広がり、人口減少や経済の停滞が深刻な問題となっているため、地域資源や文化を活用し、地方の魅力を引き出すことが求められています。

地域の活性化と地元の魅力を引き出すために、地域の特性やニーズに合ったビジネスを展開するためにも、地域にあったスキルや知識の習得が重要です。
例えば、地方の特産品を活かした観光や農業においては、その業界や市場の知識だけでなく、新たな商品をつくる際は商品企画スキル、既にある商品を発信する際はマーケティングスキルなど、地域の知識と課題解決スキルの2つの習得が成功の鍵となります。


3.個人の視点から見たリスキリング
個人としては、自己成長やキャリアアップのためにも、リスキリングが不可欠です。

「いずれやってみたいことがある」
「今の仕事は面白いが、他に興味のある仕事もある」
「家族との時間を大切にしたい」
「定年も近づき、このままでよいのかという不安」

個人のライフステージや取り巻く環境にあわせ、必要なリスキリングを行っていくことが求められるでしょう。

アウトプットの重要性


リスキリングを行う上で重要なのは、学んだスキルや知識を具体的なアウトプットに結びつけることです。
アウトプットとは、学んだことを具体的な形に変え、他者と共有することを指します。
リスキリングをより効果的なものにするためには、具体的なアウトプットをイメージしながら習得するスキルを選定することが大切になってきます。

また、自己実現に向け、働く一人ひとりのリスキリングができる環境を整えていくことも重要です。
こんな経験をした方はいらっしゃるでしょうか?

「他の新たな領域に挑戦したいと思い転職しようとしても、中途採用ではこれまでの実績が求められるためうまくいかない」

「社内での異動希望がかなわず、やってみたい仕事ができない」

今あるところに目を向けるのではなく、社内ではなく社外へ、都市部ではなく地方へといったように、常に市場全体を俯瞰で見ながらアウトプットできる場所を探していくことも、将来への備えに繋がるでしょう。

地方でも活かそう!リスキリング後のスキルと知識


最後に、リスキリングを通じて得たスキルや知識をどのように地方で活かすことができるかついて考えてみましょう。

1. 広報・マーケティングスキルを活かす
地域企業で多い課題のひとつが
「自社やサービスの存在や価値が顧客やターゲットに届いていないこと」です。
良いサービスを持っているのに、新しいサービスをつくったのに、こんな想いを持っているのに、それを届けたい方へ届いていない、認知されていないという課題です。
SNSアカウントはつくったものの、運用の仕方が分からず、知識やノウハウ不足、人的リソースを割けていないという問題からフォロワーが増えていない、更新ができていないなどのケースも多く、発信力を高めることや認知力を高めることが求められています。

そのような場合、
・マーケティング・広報戦略立案
・誰に届けるのかターゲティングの設計方法
・SNS運用支援
といった広報やマーケティングのスキル・ノウハウがあれば、要件定義や運用の伴走支援といった地域企業への貢献が可能です。

2. 販路開拓、営業スキルを活かす
「販路を開拓したい」「生産性を高めたい」という課題もよく聞きます。地域人口が減る中、既存顧客を中心にしたビジネスモデルは限界に来ています。
・商品やサービスの単価を上げたい
・新規企業開拓の仕組み・フローを確立したい
・海外で売り上げを伸ばしたい
とはいえ、地域企業における営業部隊は多くて数人、社長1人ということも珍しくありません。
そんな中、オンラインで見込み客の集客をしよう、と思われる企業も多いのですが、「ターゲット顧客をどこに選定するか」「どのようなアプローチ・提案を行うか?」という営業戦略を立てて、実行することがとても重要になってきます。

自ら営業活動の支援を行うということはもちろん、自身の所属してきた会社の営業体制やフローを言語化し、実体験に基づき、営業組織やフローに対するアドバイスや企画・ディレクション支援などのニーズも高いです。
営業を中心としたキャリア形成をしてきた方は、販路開拓支援というミッションを通じて様々な形で地域企業に貢献が可能です。

3. 企画・管理部門でのスキル活かす
地域企業では、人手不足のため属人的な仕事が多いことも課題となっています。
・人事制度をつくりたい
・DXを導入したい
・顧客管理を行いたい
という抜本的な構造改革をしたい企業もあれば、
・勤怠管理を自動化したい
・業務フローを見直して、残業時間を減らしたい
などITの基本スキルを使って、今までの業務を改善したいと思っている企業もあります。

管理部門に対するサービスや解決策は、インターネット上に情報は多く出ているものの、類似サービスも多数あり、自社にとってどれが最適なのか、導入後の進め方などの悩みを抱えていらっしゃる企業も多くいます。
管理体制の構造や仕組みを設計するという上流のニーズから、実行・伴走支援という現場のニーズまで、属人性を脱し、生産性を高めるための支援のニーズは潜在的なものも含め、課題やニーズは様々です。

日常の業務を整理したり、再現性のある業務フローをつくって仕組み化していくような、スタッフ業務の経験も十分に地域企業に活かすことができます。

まとめ


人生100年時代、リスキリングは非常に重要な要素となります。企業、地方企業、個人の視点から見たリスキリングの重要性や現状について考察するとともに、アウトプットの重要性についてもお伝えしました。
また、リスキリングで得たスキルや知識を、どのように地域の特性やニーズに合わせてアウトプットするかについてや、地元のコミュニティやNPOへの参加、地方ビジネス展開、地方教育への貢献についても学んでいただけたのではと思います。
ぜひ、地方創生を実現するためのひとつの選択肢として、リスキリングを始めてみてはいかがでしょうか?
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