【中小企業の副業人材活用】
受け入れで失敗しない5つのポイント

みなさんこんにちは、Otanomiコラム担当です。

近年、働き方改革の推進により、副業・兼業を認める企業が増加しています。
厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」改定以降、副業人材の活用は中小企業にとって新たな人材戦略の選択肢として注目を集めています。

しかし、「副業人材を採用したいけれど、何から始めればいいのかわからない」「正社員採用との違いは?」と悩んでいる経営者や採用担当者の方も多いのではないでしょうか。

副業人材の活用は、専門スキルを持つ人材に比較的低コストでアクセスできる一方で、契約形態や業務管理の面で正社員とは異なる配慮が必要です。準備不足のまま導入すると、期待した成果が得られないだけでなく、法的トラブルに発展するリスクもあります。

本記事では、中小企業が副業人材を採用する前に押さえておくべき『5つの重要ポイント』を詳しく解説します。
導入を検討している経営者の方、人事担当者の方はぜひ参考にしてください。

1. 契約形態の選択と法的整備:雇用契約か業務委託か


副業人材を受け入れる際、最初に決定すべきは契約形態です。契約形態によって、労働時間管理の義務、社会保険の取り扱い、税務処理などが大きく異なります。

雇用契約と業務委託契約の違い
副業人材の受け入れには、主に「雇用契約」と「業務委託契約」の2つの選択肢があります。

雇用契約(パート・アルバイト形式)の場合、労働基準法が適用されるため、労働時間の管理、最低賃金の保証、労災保険の適用などが義務付けられます。本業と副業の労働時間を通算して管理する必要があり、時間外労働が発生した場合は割増賃金の支払いが必要です。

厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」では、労働時間通算の具体的な方法が示されています。

一方、業務委託契約では、委託者と受託者は対等な立場での契約関係となり、労働基準法の適用はありません。成果物や業務完了に対して報酬を支払う形式であり、勤務時間や場所の指定は原則として行いません。ただし、実態として雇用関係にあると判断されれば「偽装請負」として法的問題になる可能性があります。



契約書に明記すべき必須項目
どちらの契約形態を選択するにしても、トラブル防止のために契約内容を明文化することが不可欠です。

【契約書には以下の項目を明確に記載しましょう】
■業務内容の具体的な範囲(どこまでが業務で、どこからが範囲外か)
■報酬額と支払条件(時間単価か成果報酬か、支払日、振込方法など)
■契約期間と更新条件(プロジェクト単位か、継続的な関係か)
■秘密保持義務と競業避止義務(機密情報の取り扱い、同業他社との契約制限など)
■知的財産権の帰属(制作物の著作権は誰に帰属するか)
■損害賠償責任の範囲(過失による損害が発生した場合の対応)
■契約解除条件(どのような場合に契約を終了できるか)

特に業務委託契約の場合、下請法の適用対象となる可能性もあるため、発注書面の交付や支払期日の遵守など、法令に則った対応が求められます。

契約内容に不安がある場合は、社会保険労務士や弁護士などの専門家に相談してみるのも一つの方法です。専門家の視点でチェックしてもらうことで、見落としがちなリスクに気づくことができ、安心して副業人材との関係をスタートできます。


下記に契約書のサンプルもご紹介しておりますので、ご参照ください。
▶︎【サンプル雛形】業務委託契約書


2. 業務範囲の明確化とプロジェクト設計


副業人材の活用を成功させる鍵は、業務範囲を明確に定義し、限られた時間で成果を出せる仕組みを作ることにあります。

副業人材に適した業務の選定
副業人材は本業を持っているため、通常は週に数時間から10時間程度の稼働が一般的です。この限られた時間を最大限活用するには、業務の選定が重要になります。

【副業人材に適している業務の特徴は以下の通りです】
■専門性が高く、期間限定のプロジェクト(Webサイト制作、マーケティング戦略立案など)
■成果物が明確な業務(記事執筆、デザイン制作、システム開発など)
■時間や場所に縛られないリモートワーク可能な業務
■既存社員にはないスキルや知見が必要な業務(SNS運用、海外マーケティングなど)

逆に、常時対応が必要な業務、チーム全体との密な連携が必須の業務、膨大な時間を要する業務は副業人材には不向きです。これらの業務を副業人材に任せると、本人の負担が大きくなるだけでなく、期待した成果も得られません。



業務範囲の明確化とゴール設定
業務範囲があいまいなままスタートすると、「こんなはずではなかった」という双方の不満につながります。

【業務を依頼する際は、以下の点を明確にしましょう】
■業務の目的と背景:
なぜこの業務が必要なのか、どのような課題を解決したいのかを共有します。副業人材が背景を理解することで、より的確な提案や判断が可能になります。

■具体的な成果物:
「SNSのフォロワーを増やす」といった抽象的な目標ではなく、「3ヶ月でInstagramのフォロワーを1,000人増やし、週3回の投稿を継続する」といった定量的な目標設定が重要です。

■業務の範囲と除外事項:
「ここまでは担当してほしいが、ここからは社内で対応する」という線引きを明確にします。例えば、「記事の執筆は依頼するが、WordPressへの投稿は社内で行う」といった形です。

■納期とマイルストーン:
最終納期だけでなく、途中経過を確認するマイルストーンを設定することで、方向性のズレを早期に修正できます。


経済産業省が公開している「兼業・副業を通じた創業・新事業創出に関する調査事業」では、副業人材活用の成功事例として、明確なプロジェクト設計と目標設定が共通要素として挙げられています。

また、事前の面談の際、応募者のスキルや経験、応募動機、どのような関わり方(頻度や時間)ができるか、自社に対してどんな支援をいただけそうか提案をお聞きいただくと良いと思います。
下記記事に内容を細かく記載しているので、ご参考ください。

▶︎【企業向け】 副業人材との面談の仕方は? 基本的な流れとポイントを紹介


3. コミュニケーション方法とツールの整備


副業人材は基本的にリモートワークで稼働し、勤務時間も限られているため、効率的なコミュニケーション体制の構築が成功の鍵となります。

コミュニケーションルールの設定
副業人材との連絡において、最初に決めておくべきは「いつ、どこで、どのように連絡を取るか」というルールです。

■対応可能な時間帯の確認:
副業人材には本業があるため、連絡が取れる時間帯が限られています。「平日は20時以降、土日は午前中」といった対応可能時間を事前に確認し、その時間帯を考慮して連絡を取りましょう。緊急時の連絡方法についても、あらかじめ取り決めておくことが重要です。

■レスポンスタイムの目安:
「メッセージには24時間以内に返信する」「緊急案件は電話で連絡する」など、期待されるレスポンス速度を双方で合意しておきます。副業人材に即座の対応を期待するのは現実的ではありません。

■定例ミーティングの設定:
週1回や月2回など、定期的なオンラインミーティングを設定することで、進捗確認や課題の早期発見が可能になります。定例会議は短時間でも構いませんが、継続することが重要です。



効果的なツールの選定と活用
リモートでの協働を円滑にするためには、適切なコミュニケーションツールとプロジェクト管理ツールの活用が不可欠です。

■コミュニケーションツール:
Slack、Chatwork、Microsoft Teamsなどのビジネスチャットツールを活用すれば、メールよりも迅速でカジュアルなコミュニケーションが可能です。プロジェクト専用のチャンネルを作成し、関連する情報を一元管理できます。

■プロジェクト管理ツール:
Trello、Asana、Notionなどのツールを使えば、タスクの進捗状況を可視化でき、「今何をすべきか」が明確になります。副業人材も自分のペースで作業しやすくなり、管理側も進捗を随時確認できます。

■ファイル共有ツール:
Google Drive、Dropbox、OneDriveなどのクラウドストレージを活用することで、資料やデータの共有がスムーズになります。
バージョン管理機能を使えば、過去の変更履歴も追跡できます。


重要なのは、ツールを導入すること自体が目的ではなく、副業人材が使いやすい環境を整えることです。複雑すぎるツールや多数のツールを導入すると、かえって負担になります。必要最小限のツールを選び、使い方をしっかりレクチャーしましょう。

中小企業庁の「中小企業・小規模事業者の人手不足対応事例集」でも、副業人材活用企業の多くがデジタルツールの活用によってコミュニケーションコストを削減していると報告されています。

下記記事にマッチング後の対応を細かく記載しているので、ご参考ください。

▶︎【企業向け】 副業人材との面談の仕方は? 基本的な流れとポイントを紹介


4. 評価制度と報酬設定:成果主義の導入


副業人材に対する評価は、正社員とは異なるアプローチが必要です。勤務時間や勤務態度ではなく、成果や貢献度を重視した評価制度を構築しましょう。

成果ベースの評価基準
副業人材は時間的制約がある中で業務を遂行するため、「何時間働いたか」ではなく「何を達成したか」で評価することが合理的です。

■定量的な評価指標の設定:
可能な限り、数値で測定できる指標(KPI)を設定します。 例えば、マーケティング担当なら「PV数」「コンバージョン率」、デザイナーなら「納品物の数」「修正回数」、エンジニアなら「実装した機能数」「バグ修正数」などです。

■定性的な評価要素:
数値だけでは測れない貢献もあります。「提案の質」「チームへの知見共有」「問題解決能力」なども評価に含めることで、より包括的な評価が可能になります。

■自己評価とフィードバックの組み合わせ:
副業人材本人にも自己評価をしてもらい、それを基に双方向のフィードバックを行うことで、認識のズレを防ぎ、モチベーション維持にもつながります。



適切な報酬設定と相場観
副業人材の報酬設定は、スキルレベル、業務内容、市場相場を考慮して決定する必要があります。

■時間単価方式:
デザイン、プログラミング、コンサルティングなど、作業時間に応じて報酬を支払う方式です。
一般的な相場は、スキルや経験によって時給2,000円〜10,000円以上と幅があります。専門性の高い職種ほど単価は高くなります。

■成果報酬方式:
記事執筆、Webサイト制作など、成果物に対して報酬を支払う方式です。
「記事1本あたり5,000円」「LP制作1件あたり50,000円」といった形で設定します。

■固定報酬+成果報酬のハイブリッド方式:
基本報酬を設定した上で、目標達成時にボーナスを支払う方式です。
安定した収入を保証しつつ、高いモチベーションを引き出せます。


報酬設定の際は、クラウドソーシングサービスや副業マッチングプラットフォームの相場を参考にすると良いでしょう。ただし、極端に低い報酬では優秀な人材は集まりません。適正な報酬を支払うことで、質の高い成果を期待できます。

また、継続的に良い成果を出している副業人材には、報酬の見直しや長期契約の提案を行うことで、関係性を強化できます。優秀な副業人材は複数の企業から引き合いがあるため、適切な評価と報酬で関係を維持することが重要です。


5. リスク管理と情報セキュリティ対策


副業人材を受け入れる際には、情報漏洩、競合との利益相反、労務管理上のトラブルなど、様々なリスクを想定した対策が必要です。

情報セキュリティ対策
副業人材はリモートで業務を行うことが多く、社内ネットワークの外から機密情報にアクセスする可能性があります。

■アクセス権限の管理:
副業人材には業務に必要な最小限の情報のみアクセス権限を付与します。
プロジェクトが終了したら速やかにアクセス権限を削除することも重要です。

■秘密保持契約(NDA)の締結:
契約書とは別に、より詳細な秘密保持契約を結ぶことで、機密情報の取り扱いについて明確な合意を得ます。
違反時の損害賠償条項も含めておくと抑止力になります。

■セキュアな通信環境の整備:
VPNの利用、二段階認証の導入、パスワード管理ツールの活用など、技術的なセキュリティ対策も講じましょう。
副業人材が個人のデバイスを使用する場合は、セキュリティソフトのインストールを義務付けることも検討すべきです。

■情報の持ち出し制限:
業務に関連する資料やデータは、クラウド上で管理し、ローカルへのダウンロードを制限します。
契約終了時には、保持しているすべてのデータの削除を確約してもらいましょう。



利益相反と競業避止の管理
副業人材が複数の企業と契約している場合、利益相反のリスクがあります。

■競合企業との契約制限:
契約書に競業避止条項を含め、同業他社や直接の競合企業との副業を制限します。
ただし、過度に広範な制限は無効と判断される可能性もあるため、合理的な範囲にとどめることが重要です。

■他社との契約状況の開示:
契約締結時に、他にどのような企業と契約しているか開示してもらい、利益相反の可能性を事前にチェックします。機密性の高いプロジェクトでは、特に慎重な確認が必要です。



労務管理上のリスク対応
雇用契約の場合、労働時間の通算管理が義務付けられており、これを怠ると法令違反となります。

■労働時間の自己申告制:
本業での労働時間を定期的に自己申告してもらい、副業との合計が法定労働時間を超えないように管理します。厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」では、「管理モデル」として、それぞれの企業が自社の労働時間のみを管理する方法も示されていますが、導入には労使協定が必要です。

■過重労働の防止:
副業人材の健康管理も重要な責任です。業務量が過度にならないよう配慮し、体調不良の兆候があれば早めに業務量を調整します。


独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公開している「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」では、外部人材を活用する際のセキュリティ管理のポイントが詳しく解説されています。リスク管理の参考にしてください。


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まとめ


本記事では、失敗しない副業人材の受け入れ方・5つのポイントについて詳しく解説しました。
副業人材の活用は、中小企業にとって専門スキルへのアクセスや人材不足の解消など、多くのメリットをもたらします。

しかし、成功の鍵は事前の計画的な準備にあります。
契約形態の選択、業務範囲の明確化、コミュニケーション体制の整備、適切な評価・報酬設定、そしてリスク管理——これら5つのポイントを押さえることで、法的トラブルを避け、期待した成果を得ることができます。

まずは小規模なプロジェクトから始め、信頼関係を築きながら段階的に活用範囲を広げていきましょう。副業人材との新しい働き方は、御社の成長を支える強力な武器となるはずです。